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山中記

偶然の必要。

13日の金曜日。
ひどい二日酔いが結局ひかないままに柏崎まで出て、
ハローワークでの雇用保険の初回説明会へ。

家のこと、鶏のこと、畑のことに加えて、
田んぼの仕事を覚えること、山も然り。
さらに加えて集落のこと、先達から教えてもらうこと、夢の森で学ぶこと。
以上のもろもろを一つずつ組み合わせたり、足したりかけたりして、
最終的に「この家でまず冬を越す」というのが今年の最優先事項なので、
特定の組織に属して就労しようという意識がとうぶんない
(連休だけ地元の「王国」のお手伝いをさせてもらった)。

なので、なんとなく作業ズボンとパーカーを着て、
ふらふらとハローワークの会場に入ったら、
驚くなかれ、そのパーカー率の高さよ。
後ろの席から眺めていたら8割くらいがパーカーを着ていた。
無職でこの時期というのはパーカーを羽織るものなんだな、
と感嘆しながらトイレに立ち、胃のふちからこみあげるものを感じつつも、
鏡の前で己の二日酔いパーカー(?)の安直さを恥じる13:30。

8割のパーカーのそのうち9割5分くらいのフード部分は、
たぶんこれといって機能することのないまま終焉を迎えるのだろう。
この残念なフード部分をどっかの何かに社会貢献的に使えないものだろうかなどと考えるが、
どっかも、何かも、まったく思い浮かばないままむなしく時は過ぎた。

 * * *

保険、税金のことにからきし弱く(いわゆる社交辞令的なものじゃなく全く無知)、
睡魔や二日酔いに苦しみながら無事終了。
「林業就業支援講習」というチラシを片隅で見つけたのが最大の収穫だった。
森林と山村地域の現状、林業の知識、チェーンソー作業、実地講習など、
魅惑の内容があるほか、受講料無料なだけでなく、宿泊費まで出る。
はたして新潟の農林公社などで受講できるものかどうか、
後日、「求職活動」として相談に行こうとたくらんでます。

夜はウドで晩酌をして寝た。

 * * *

14日の土曜日。
夢の森にて「手づくり自然建築と暮らしの講座」。
初回につき、参加者同士を知ることに重きをおかれ、
その他、講師となる地元の工務店の方のお話や、森を歩きながら木の話をたくさん聴いた。
自己紹介であまり空気を読まずに、鶏小屋をつくりたいですと話したら
その工務店にも材がたくさんあるから取りにおいでなさいといってくれた。

参加者は10数名。
2年かけて、キッチンつきのオープンスペースがつくられる構想。
一年目の今年に基礎、墨つけ、刻み、建前、屋根と進み、
来年に、土壁、杉皮葺きの屋根、アースオーブン、ロケットストーブなどへと進み、
非電化冷蔵庫も備え付けられる模様。

ここの家の部分直しや鶏小屋を少々という低い志かつ手ぶらな状態でのぞんだワタシは、
差し金や尺貫法のところでいきなりつまずきそうになったので気合を入れねば。
でも、夢の森に集まるヒトはみんな個性的だ。

杉皮の屋根というのが実に興味深かった。
葺くために使う杉皮は木に水分の多い春~夏にとり、
材木は水分の少ない秋冬にとるそうです。春にとると材がかびてダメらしい。

昔は家をつくるのに3年くらいかかったといわれる。
職人が棟梁となって指揮をとり、村の衆が大工衆と成り、
山主とともに山に入って木を切り倒して材をとるところがスタート地点。
今は完全に分業制となり(水まわりやサッシなど)、
プレカットされた材を組み合わせる式に建て方も変わり、数か月で家が建つのがほとんど。
「山の曲がり木を使いこなせる大工はもうほぼいない状態」と先生は話していた。

建築に限らず、
「生産」「消費」「廃棄」のそれぞれはもはや完全分業が当たり前となり、
3つの間には互いに見えない壁ができてしまっているのが現状。たしかに。

夢の森スタッフによるアイスブレークが秀逸していた。
アナタは自分をおでんの具にたとえると何になる(例:大根、こぶ、はんぺん、つみれの4択)?
なんてのもあり、ワタシはなんとなくふらふらとはんぺんの場所にたどりつき、
「はんぺん派」の人たちと「なぜ、はんぺんか!?」と話しあったのでした。
あと、建築受講者はA型のヒト(しっかり者?)が圧倒的に多くて、
我がB型(マイペース人間?)はスタッフ・フッキ―と俺の2人だけだった。
たしかになあ。

晩酌はウドとニシンの煮つけを食べて、よく寝た。

 * * *

昨日日曜。
山中の道普請(”やまぶしん”とも呼ぶらしい)。
7:30~17:00くらいまでみっちりと労働。たぶん今日はかなり筋肉痛。
今年は特に雪が多かったので倒木と土砂崩れが多く、
山中~栃ヶ原へとつづく山道を車が通れるように、熊手スコップときどきユンボなおよそ10時間。
身体は消耗したけど、山深いところで一日働けて楽しかった。
それにしてもみんな(俺以外は自分のお父さん世代~高齢の方)、
山で使う基礎体力がやっぱりすごい。
道をゆきながら、あるいは一服のときに耳にした話がいちいちおもしろかった。

倒木を倒木のまま、もらう。
後日切り刻んで運ばねばという宿題がやまんかのあちこちに増えていく。
ちょっと不安。


偶然の必要。_b0079965_5355573.jpg




で、夜は下の隣組の焼肉打ち上げに呼んでもらって、
「りはち」の素敵な家でビール。
おもしろい話がまたたくさん聞けた。
山中の月夜の立ちションがひじょうに気持ち良かった。


おもしろ週末だったので殴り書き留め。
3時に鶏と起きだして、今日は門出の田植えを手伝ってきます。
たぶん明日も筋肉痛。
それが終わったらようやく家のことができるだろうか。
雪解け後(それでもまた雪に出くわす)は忙しいもんだなあ。
来春は早くから畑の準備がしたい。




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by 907011 | 2011-05-16 05:37 | Trackback