山中記

のまかき、ぐみあみ、雪だなづくり。

3日土曜は門出の古民家「おやけ」を会場にして、
じょんのびツーリズムの会の初の体験会(と交流会)が行われた。

7月7日に立ち上がったこの会のテーマの一つに、
「なつかしい未来の里」という言葉がある。
(検索してみると「なつかしいみらい」って言葉は意外に多用されていてたまげた)


「なつかしい」という感情だけが持つ力があると思う。
「どこかなつかしい」という感情が呼び起こす力があると思う。

古いもののなかに、新しさを見ることがある。
なつかしさという感覚は、世で言う「オンリーワン」よりも、もしかしたら、
穏やかだけど、強いんじゃないだろうか。

なつかしさという感情を、未来へつながる力にしようという話を、
じょんのびツーリズムの話し合いではよく耳にする。
もう一つ、「なんぎぃがあるすけ、じょんのびぃがある」という言葉も。


今回は会員の勉強会として、また今後展開される”百姓に学ぶ大地の学校”構想の初の具体化でもあった。
大地の学校の目的は二つ。
一つは「百姓のすごさ、知恵を学ぶこと」。
厳しい季節のなかで、こなさなければならない仕事は百に及び、
これらをこなせる人に百姓の称号が与えられます。
百姓の、季節と会話するくらしは五感を豊かにし、人間本来の人間力を育むと同時に、
からだで憶える実体験は、知識ではなく”気付く”ことを与えてくれ、心も育んでくれます。
(大地の学校構想の説明より)


かつての山に生きた百姓の暮らしを掘り起こし、話し合って、再現することで、
「なつかしい未来」を探る第一弾。
集落の名人たちに教わりながら、昔の記憶を手繰り寄せる、伝えてもらう会となった。

日記のタイトルにある「のまがき」「ぐみあみ」「雪だなづくり」。
自分には言葉で説明するのがとても難しいので、今回は下の写真を見て、察してください。


 * * *


で、もう一つの目的は「百姓仕事の記録と保存」。
この風土に残る、あるいは消えかけそうになっている生活文化をどうやったら記録し、保存できるか。
その上で受け継いでいくこと、あるいは望む人に伝えていくことにつなげたい。

俺はこの記録担当班となり、カメラを首から下げつつ、
初めて触るビデオカメラを持って作業に張り付かせてもらった。

8時半おやけ集合。
9時、何班かに分かれて開始。
俺は田代~松代に抜ける県道(?)にて茅刈りを記録しながら、少しだけ手伝う。
使う茅にも良し悪しがある。

縄をもらって、茅をしっかり縛ってみたら、これは仮留めだから
はさがけの時にみたいにまるけて、軽トラに積めればそれでいいんだよと教わる。
次の作業の流れを知ることが大事。
ついでに、スノーシェッド(=片側の眺めの良いトンネル?)の上が平らだということを初めて知る。

一時間半ほど茅を刈っておやけに戻ると、
すでに玄関の前に「雪だな」のための木組みができていた。
この木組み(の一部?)は「ふかぐら」と呼ばれ、ここに茅を縛っていく。

b0079965_6385798.jpg

縄を解いて、刈ってきた茅から悪い茅を外しながら運ぶ。
横に竹を2本渡し、その間に茅を挟んでいく。

b0079965_6384196.jpg

同時並行で雁木の中では名人が、「のま」をかいている。
のま(ぬま)とは、わらで編んだ雨よけのことで、のまを編む作業を「のまかき」といいます。
のまはいろいろな場面で雨よけとして使われますが、冬には玄関が雪で埋まってしまわないよう、
玄関先に回廊のように立てて、雪が入らないようにしました。




先日、柏崎市博物館でやっていた「藁のちから、藁のかたち展」を見に行ったら、
のまが一つだけ隅っこにちょこんとあった。
「のま(とば)」と表記されていて、
前に住んでいた長岡の成願寺で、さいの神の時に「とば」はよく耳にした記憶がある。

翁の尻の下からずーっと続いているのが、のま。
名人の一人はわらをほどいて、一把を3つに分けてもう一人に渡す。
渡された名人が、ぴんと張られた縄に、そのわらを交互に編みながらつくられていく。

b0079965_639947.jpg


と、表を見ると、すでに茅が全部縛られていた。
横二面と、天井にも茅が敷かれている。
冬に雪を掘る時は、かんじきを履いて上がらないと、足がずぼっと踏み抜けてしまうらしい。

ついでに、門出和紙のヤスオ親方のところのとっと(鶏)が3羽ほどしめられていた。
とっとの毛抜き体験も冬の追体験の一つ。

b0079965_6393742.jpg


茅の外側には、できあがったのまを下から順番に縛っていく。
今回は(たしか)4段ののまが上の方までつけられ覆った。
雨をよけるために、二段目の下部が、一段目の上部と重なる部分は、
上の方ののまを常に外側にかぶせていく。
そうすることで雨が外に垂れていく。
うまく言語化できない。見ると、書くでは大違い。

「なんか昔の暮らしっていうよりは、どっか南国の家みてえだな」とイサオさんが茅を運びながら笑っていた。

写真奥の雁木では(たぶん)「ぐみあみ」をしている。
ぐみあみは、三つ編み。
冬仕事の大切な一つとして、今でいうロープをわらの三つ編みでつくっていく。
縄と違って縛って結ぶことには不向きで、木に渡してものを干すはさがけなどに向いているらしい。
今回、ぐみあみはあまり手が回らなかった様子。

b0079965_64064.jpg


のまが付けられた雪だな。
百姓の仕事は綺麗。
上にある柿の実も映えて、綺麗。


b0079965_6384879.jpg


玄関の中から見た雪だな。
雪だなだな。
秋田弁でいうと、ゆぎだなだべな。

玄関を入った正面の台所では女の人らがむかしのごっつぉを朝から一日がかりでつくっている。
夜のごっつぉはすごかった。
でも、のっぺを出し忘れてたことは翌朝に聞いた。

b0079965_6392673.jpg


おにぎり、漬物、豚汁と、少々のビールと姫の井(地酒)をとり温まって午後の部。

あまった茅で簾(すだれ)を編んだ。
上に渡している木には等間隔で溝が掘られている。
縄をあっちとこっちに2本、木の重し(こもづち)を巻き付けてぶらさげている。
茅を挟んで、こもづちごと行き来させて、溝を使って茅を絞める。



b0079965_639474.jpg

一仕切撮らせてもらって、途中から俺も混ぜてもらった。
3人でやるとひじょうにテンポよくはかどった。

この「こもづち」(うろ覚え)への縄の編み方がすごかった。
8の字風(うろ覚え)に巻いていくのだけど、
すだれを編んでいって、手元の縄が短くなると、するするするしゅしゅっと(うろ覚え)繰り出される仕掛け。
まさに百姓仕事。
このすだれ編みの一連が私的にじつに感動しました。

・・・「するするするしゅしゅっと」って、ひどいな。
もはや(うろ覚え)じゃなくて、覚えていない。
見ると書くとはかくも違う。

b0079965_640095.jpg


簾が玄関に取り付けられて、後片付けして体験修了。

b0079965_6391943.jpg


あとは速やかに夜の部へ。
囲炉裏とごっつぉと酒。
(写真は昼食後の先輩方。地炉を囲んで、柿を焼く話などで盛り上がる。姫の井は欠かせない)

参加した方一人一人に感想を語ってもらい、合わせて記録。
俺は山中に来て、こういう会や村の男の人らを見ていくうちに、
「自分がこれから歳を重ねること、重ねていく先がひじょうに楽しみに変わった」というような話をした。

その後、隣で「久保田」(久保田のラベルは門出和紙なんです)を呑むカツヒコさんに、
君の暮らしはこのままではいけない、もっと鶏にこだりなさい、二本の柱を持ちなさい、
すなわちミツバチをやりなさい、すぐやるべきだ、君はその、ゆるキャラのままじゃいかんのだと熱く諭された。
最近頭のなかをぐるぐる駆け巡っていた問題でもあったので、「たしかになあ」と反論できず、
酒をあおり続けて、いつものように記憶を飛ばす。


b0079965_6401646.jpg



意識がふっと戻ってみたら、結局1時だか2時だかまで地炉端で飲んで話して、
5人ほどおやけに泊まり朝帰り。
翌日はひどい二日酔いで一日何もできず、
半年あるいは一年ぶりくらいの休肝日に成った。


ちなみに、我が家の冬囲いはまだ手を付けていない。
[PR]
by 907011 | 2011-12-06 07:00 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://tsunagou.exblog.jp/tb/17195529
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]