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山中記

雷及収声

かみなり すなわち こえを おさむ。

吐く息白く、布団から出づらい季節になった、早くも。

夜明け前の青い時間があらわれるのが遅くて、日暮れも早い。
4時半に外に出ても暗く、星が瞬く。山中で見る星空は美しい。

家の前が稲の香ばしいにおい。
朝露を吸ってなおさらなのか、闇で何も見えないから嗅覚が澄んでいるためなのか。
近くに虫の声、少し遠くによくわからない生き物の鳴き声もした。
ケモノの気配を感じながら、稲の香りと星空をどこまでも自由に堪能。

9月25日にヒナが一つだけ孵った。
命名「くにこ」。
とりあえず雌の名前を付ける慣例。どうかクニヒコに変わりませぬように。
夏に生まれたヒナ4つも、すでに2つは尾が長くて雄々しい。

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天気予報は難しい。
雨にやられながらの週はじめ、遅ればせながらの稲刈り農繁期。肩が張る。
昨日は初めてコンバインに乗った。ヲクサのでっかい田んぼを気持ち良く刈っていく。機械は早い。

もうすぐ助っ人が山中に駆けつけてくれて、ツキヨメの田を二人で手で刈る予定の今日。

田んぼのない非農家の家で生まれ育った自分が、
こうして田んぼを借りて、自分の米をつくることがなんとも感慨深い一年。
仮に自分が一人で田んぼをやりたいと駄々をこねたとして、
本当に何もないところからやろうとしてもできない。
木を切って、根っこを抜いて、岩を運んで、石を拾って、平らに均して、水を求めてetc.

ご縁あって住んだこの土地の、累々の先祖やそれを受け継いできた村の人たちの生き方があって、
そこにふらりと自分が来て借りて、苗を植えてわいのわいの言っている。

自分にはこれから何ができるんだろうか。
とりあえずわいのわいの。



思い出したら、思い出になった。

糸井 重里 / 東京糸井重里事務所






 「集中」というのは、
 他の人が他のことに「集中」してくれているという、
 ある種の依存関係によって成り立つ。
 つまりは、「集中」というのは、
 「分業」というしくみのひとつの部品なんだ。




月曜の雨に当たりながらお父ちゃんと少し予行練習をしてはざがけしてみたら、
かけ終わった稲の美しさに感動。そのまま見とれながらもたれながらビールを呑んだ。

明日の朝はさらに感動的だろう。
1年後はどうなっているんだろう。
来年の今日の自分の姿は想像しにくい。
得意のゆるやかに、でも相変わらず節操なくあれこれと。

自分もまたお天道様の下でくるくるあわあわと回っている。


「考えればおもしろくなる、
 考えないとおもしろくならない」
これを、覚悟しなきゃいけません。

by 907011 | 2012-09-27 05:16 | Trackback