山中記

タウェイ。

5月も下旬に差し掛かると、
「田んぼ終わったかい」というのが挨拶に加わる。

代かきが上手にできず凸凹だらけにしてしまったので、
毎日水をいじくりまわすばかりで時間が経過し、終わった感がまったくない。
(昨日は草の伸びきった畔の中で蛇と三回遭った)
と、いうのが一つ。

今一つは、まだ田植えしていない小さい田んぼがあるから。
鶏の米保管部屋に1年半ほど置いていた在来コシヒカリ(現行のコシヒカリBLになる以前の品種)の籾で、
しかも5月に入ってから、「それもありだな。」と思い出したように湯温消毒をして、
小さな田んぼの小さな一角を指さして、ここを苗代とすると宣言。
水を区切り、「こんな感じ」とイメージだけで床をつくり、
その後あわててもみ殻くん炭を焼いたくらいにして、
どうにか水苗代の実験台に種籾をまいたのがちょうど一月前の7日だった。

泥を盛ってまいてくん炭で覆っただけで、
何も資材を使わなかったので、雨で打たれたり、水が流入すると、
あっという間に端っこの籾が流されたり、
先日夜中の雨降りで朝行ったら出芽間もない苗がごっそり浮いていたり、
とにかく実験にふさわしい七転八倒ぶりだったが、
田んぼの中の苗づくり、自分の”筋”(種籾はスジと言われる)を継いでいることを想うと、
この実験はやたらと面白い。

 * * *

さらっと上記しましたが、
雨で浮き苗になってあちこち畔際に打ち上げられていたチビたちを拾い集め、
ふたたび苗代に植え戻すという作業は悲しく、かつ地味だった。
小さな苗代への小さな田植え。
「農繁期にこんなことしてるのは自分だけだろうな」と自嘲しながら静かに興奮する妙。

苗代内田植えをするそばから、
自分が一歩動くことで起きる波によってさらなる浮き苗が二次災害的に出る。
それらを掬おうとしてさらにまた一歩、さらに浮いて逃げていく苗。

自分が、「心の優しい、ニンゲンと仲良くなりたい、でも残念なことに顔の怖い怪物」と重なる。
友達が欲しくて街に出たものの、ニンゲンはみんな怖がって逃げていく、
と、いうような話を稲中卓球部で読んだのを思い出した。


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by 907011 | 2014-06-07 04:17 | Trackback | Comments(0)
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