こうきたらこう。
田んぼからの昼上がりにカモシカと遭った。
このままするするっと沢向こうの崖を登り姿を消した。
噂には聞いていたけど極めて灰色。
なんであんな急斜面をゆっくり登れるんだろう。
うちの子は鶏の居る環境には理解を示してくれたようで良く馴染み、
ぽんぽんと背中をなでたり、歩行機で追いかけたりしている。
野田知祐さんが川から日本の移り変わりを鋭い切り口で考察したように、
森羅万象に対して歩行機でどんどんにじり寄っていただきたい。
ヒマらしい駅員が数人、荷のまわりに集まったので、しばらくカヌーのレクチャーをする。
「ひっくり返らねべか?」
「時々はね。その時は岸に着けて、水を出してまた乗ればいい。
濡れて困るものは防水袋に入れておくから、どうってことはないですよ」
「小っちぇけくておっかねな」
「小さいから軽くて良いんです」
「グンラグンラするべ」
「ぐらぐらするから動きが自由なんですよ。大きなフネは安定しているから、少しも自由に動けない。面白くないでしょう」
不安定な自由をとるか、不自由な安定をとるか、それが問題だ。
(野田知祐『日本の川を旅する』「雄物川」)
トモスケさんのカヌー犬の名こそ、ガクであった。
お父さんがとにかく蛇がダメですので、
このようにして蛇についてはどんどん任されてほしい。
当人は「黒姫電気、黒姫で~んき」と言ってドラムで遊び、
昼休みのワタシは半分以上寝ながらそれを見る。
(岳1歳はまだ「黒姫電気」とは言えませんが)
流域の人は誰も川に尻を向け、目をそらして生きていた。
田園調布の洒落た邸宅も川に汚物を流して、口を拭って澄ましこんでいるのであって、
川から見ると恥部があからさまに見えて無残なものである。
『日本の川を旅する』「多摩川」
by 907011
| 2014-06-08 03:58
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