山中記

失意泰然。

昨日は「中山間地域等直接支払交付金制度」に係る、
高柳町農業振興会という会議に出てきた。

亡くなる方や離農者の自然増で年々縮小されていく傾向が多いものの、
集落の農業、あるいは特に財政面において、
この1期5年間毎の”直払い”の恩恵は甚大だ。

山中の会計状況がまさにその典型で、
いま精算している27年度に関しては、
棚田の面積に応じておよそ200万円強のお金が交付された。
そのうち50%は耕作者へ、11%は集落間(高柳町域での重機使用や事務局運営etc.)へ、
で、残った39%が山中集落へと入る。

今季は、その「39%」にあたる93万円が山中での農業(主に水田)の維持や集落運営のために、
たとえば集落の草刈りや土木の費用、山中のブルやユンボの修理代金などで、
山中区が立て替えて支払いしていた分を相殺するような格好で、会計に繰り入れられる。

39%の93万円。
奇遇ですが暗記しやすいので、覚えたい方は覚えましょう。
農山村の風景を眺める視野が少しだけ膨らみます。
ひょっとすると「山中検定」(開催未定)で出題されるかもしれません。
『山中カルトクイズ』(未刊)に載るかもしれません。

現在の状況から言えば、もしも来年田んぼする人が誰もいなくなったとすれば、
あるいはもし、ある日国がふと「直払いをやっぱりやめます」となったとすれば、
おそらくそのままこの集落はけっこうなスピードで破綻すると思います。
山中は財政的にももちろん暮らしの文化としても、
耕作されてきた田んぼが背骨としてあって維持されてきた、
というのは現時点で言える事実だと感じています。

自分の頭の整理メモみたいに備忘録として記しましたが、
村のサイズと財政が縮小するなかで、いかにして「適疎」を目指していくかが、
現在の地点からあらためて考え合う宿題のようなものです。
間もなくニ巡目に入る区長見習いにとっての28年度は、
小さな農山村の持続可能性を、迫り来る様々な現象に追われながら、考える年になるのでしょう。
(なぜか、この辺だけ「ですます」調)

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小さな集落として適切に小さくすべきもの、反対に膨らました方が良さそうなものは何か。
あるいは、ささやかであっても新たに芽吹かせることができそうなものは何か。
この一年で唯一といっていいくらい切実に感じたのは、
農山村である山中から「農」が削られればそれだけ集落としての特性は薄まっていくだろうということ。

問いは無尽蔵にあり、ただその答えは村のこの暮らしの内側もしくは「山中時間」の中にある、はず。



<「継承する」という言葉の単位を、
 “家”から“地域”へと変えていかないといけない時に来ていると思うんです。

 家の継承の結果として、地域が維持されるというのであっては、
 どう考えても今の時代うまくないという感じがしています。

 それなら、地域を持続させるためにはどういうことが必要なのかということなのですが、
 そこで、
 「自分たちの地域はどういう風な労働体系を作り上げると持続できるのか」という、
 地域それぞれの労働体系をきちんと見つけ出していくという必要があると思います。

  この「労働体系」の中身は地域によって違うわけで、
 たとえば、上野村のように一枚も水田がない村では労働体系も当然考えなくてはいけなかった。
 米というものがかなりの役割を果たす地域においては、
 どういう労働体系が維持されていくと、地域の持続ができるのかをしっかり考えなくてはいけない。

 つまり、どういう経済かを考える前に、
 「どういう労働がその地域の中で組み合わされていくと、
 その地域は持続可能になっていくのか」を考えるべき。

 労働の中には、もっぱら生産に寄与するような労働だけではなくて、
 お祭りを準備する労働とか、そういう労働もあります。
 たぶん、この地域でもいらっしゃるでしょうけど漬物がものすごくうまいとか、
 そういう役割を果たしてくれる労働もあるでしょう。

 必ずしも収入になるかならないかに関わらず、
 地域社会の中におけるどういう労働があったら良いのか。
 この地域ももう少ししたら山菜を採りに行くのが普通に行われるでしょうけど、
 それも一つの労働であって、
 採ってきた山菜の一部は商品として販売されるかもしれないし、
 また、多くは自分たちの消費に回っているかもしれないという、
 そういう労働が地域を守っているわけです。

 だから、生産的というか、最終的には収入に関与していくような労働もあって、
 どういう労働があればこの地域をやっていくことができるのか、も必要ですけど、
 ただ、収入に寄与しないけども地域社会が維持されていく上ではとても重要な労働もある。

 そういう労働も含めて、
 それぞれの地域にどういう労働体系があったらば、地域社会は維持できるのか。

 その地域の労働体系の継承者をどういう風に補償していくのか、
 それを考えるべき時に来ているのだと思うんです。>
 (「哲学者・内山節さんと話そう」より)


迷ったときは指針を見よう。


・・・残念ながら、通帳・現金ともに体力切れで、
じつは最後に残っている区の支払いは、切実なワタシの区長報酬なんです。
直払いのお金が無事、区の通帳に入ってくれますように。

”適疎”=good balance.









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by 907011 | 2016-03-16 05:39 | Trackback | Comments(0)
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