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山中記

小画。

24日AM4:30。
”センノウ沢”の復刻田に行ったら、水が満タンに張られていた。
よくよく近付いてみたら、くわえ煙草のイサオさんが笑いながらトラクターに乗り、
助手犬フミエ監修のもと、すでに代かきを仕上げてくれていた。

昼前。
山中の取り付け道路の隠れ名所(まったく隠れてない)「ザリガニ池」で
”ばんきち”にええポンプを借りて、機械洗い。
30分昼寝をし、柏崎にて担い手農業者総合研修会に出席。
「循環型農業推進事業」と「地域営農支援事業」の2つを今後要チェック。

戻って19時半、「高柳自立経営農業者会議」に参加。
中間層の年齢でありながら、
これまで地域農業をぐいっと牽引し鼓舞されてきたキヨシ会長が勇退され、
さらに後進を育ててみようじゃないかとの提言のもとに、
ミツタカ代表・新体制となり、スライドしてオノジマ副会長、
そして、昨年一年間固辞させてもらった自分が事務局(feat.町事務所Oさん)にスライディング。

事務局から「副会長兼事務局長」という何だか一番大変そうな肩書に
慣習的に自動スライドしたオノジマさんは役員会を欠席されて、
総会の場で初めて新体制を目の当たりにし、
「俺聞いてなかったんすけど・・・マジかよ~」と顔を少し引きつらせながらビールを飲んでいた。

日頃よりキヨシさんやミツタカさんから、
「自立経営は高柳の百姓のための最後の要だ」といくたびも聞かされていた不肖俺も、
今回は腹をくくって、自然スライドに加わり、
「事務局の方の打合せはなるべく俺出ますので」と、
ビールをあおるオノジマさんに納得してもらった。

とはいえ自分もあの百姓のレジェンドだらけの中にただ座るだけでも
恐れ入ってしまうものの、
一方で、新規農業者が数人入ってくる今年なので、その点は楽しみだ

 * * *

空けて25日8:00。
前夜、後進に道を譲り、でも実は皆が”アベソーリ”みたいに「二度目の本番」を期待された、
キヨシさんに連れて行ってもらって、お隣りの仙田へ。

先般相談にゆき、その場で瞬時に話が出た”ええ乾燥機”が手に入りそうな模様。
自分の自立経営農業において、はじめての設備投資。
他にもええトラクター、ええ田植え機、ええコンバインなどがエントリーされていた。
(うちの義父さまとは「トラクターは二台あればいいなあ」と話している)

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仙田の高倉集落、7戸。

小画。_b0079965_2571069.jpg



昨日現在で、無農薬田の草取り2枚目(無農薬自家鶏ふん5年目)の一周目が9合目まで進んだ。
草取りが一段落して、溝切りを適当に片を付けて、
「あとは草刈りを残すだけだ」となったら、雨降りの日にでも、
こうした10戸を割った小さな農山村の集落を見に行きたい。

これまで山中区の補助金のメインであった、
中山間地での農業に対する農水省補助金(高柳で「直払い」と呼ばれてきたもの)が、
いま第4期5年間のうち2年目に差し掛かっており、
もう3年半後には、可能な限り小さな画にダウンシフティングしたいと想っている。

その前に来春に山中もそこここの集落でも、区長改選の選挙があるので、
次の区長が決断することだけども、
その小さな画、
要するに高齢や不慮のケガ病気の離農に耐え得る、村落の「しなやかさ」を備えたいと想った。
それが、自分が想う、山の暮らしの”このまま”を続けていくための術だと考えている。

で、そのための一手としてより柔軟な”もう一つの直払い”(多面的機能支払)に手を挙げ、
これらを併用しながら(もう一つ”第三の矢”をじつは用意しつつ)、
小さな画の描き方を何パターンか、白紙に下書きを描いておく予定で考えている。

だからいま、小さな村落をなんとなくふらりと見にゆきたい。

そういえば、高倉で運ばれゆく乾燥機などをしげしげと眺めていた主宅のおばあちゃんが俺に、
「あんたも山の中なら大変でしょう。ほれ、これも持ってゆきなさい」
と稲を起こす長いアルミの棒をいただいた。




小画。_b0079965_2553913.jpg


人参の花は花火のようで、
そこに黒赤のきれいな模様のカメムシが毎日遊ぶ。


仙田の奥や谷根や松之山に、
ふらりとそのうち外遊にゆこう。

 * * *



 私は「市場価値」と共に、
農業・農産物の「本質的価値」を見直す時期にきているのではないかと思う。
農産物が生み出され、流通し、食卓に並ぶまでにどのような行程を経て、
そこにはどんな工夫や苦労があり、どんな思いを持って届けられているのか。
安ければ正義なのか。反対に、国産であれば無条件に良いものなのか。

 思いと誇りを持って作られた農産物には、
おのずと本質的な価値や意味が宿っているはず。
それを、誇張するでも卑下するでもなく、ありのまま伝えることができたなら。
それを「価値」と捉えるか否かは相手次第だが、
これからの農業者には、それを自分自身の言葉で伝える使命があると、私は考える。

 今、農業を良くしたいと考えている人は、農業者だけではない。
さまざまな分野の人や消費者が、農業に関心を持ち、農業を応援しようとしてくれている。
しかし、だからこそ核となるのは農業者自身。
農業の本質的な価値を、誰よりも知っているはずの私たち農業者が、
自らの声で発信していきたい。
(『農業共済新聞6月3週号「大波小波」』岡山の酪農家・三浦正之さん)








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by 907011 | 2016-06-27 04:14 | Trackback