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山中記

レモンの力。

昨夜。
”センノウ沢”の田を見回りがてら、農協へ。
「高柳地区の支店運営委員の選出打合せ会議」の席につく。

高柳農協では昨年度まで18人の委員で構成される「支店運営委員会」を設けて、
各団体の代表がその委員にあてられていた。

で、なんだかんだで推薦、譲り合い(?)、恐怖の欠席裁判などを経て、5人、
この度の高柳が”枝支店”と呼ばれるものになった東部田尻支店の会議委員が選出された。

それまでのご挨拶および話の雰囲気から察するに
「これはベテランの方にやってもらえるな。フフフ」とたかをくくって
睡魔に襲われるままに目を閉じて深い考え事をする振りなどをしてたら、
思いの外序盤に唐突にご指名を受け、
目を開けざまに「へ?」という力ない擬音のような変な音が喉から出た。

「いや。地域の声を発言する力がありまへん、ワシ」と食い下がったものの、
発言せずとも勉強せいということで、
「総代」代表という”偉そうだか断れないニンゲンなんだかいよいよよくわからない枠”で、
欠席裁判された門出区長と、
場にとっても相応しくない山中区長が選出される運びとなった。

結局お役目が増えてはしまったが、
次回、田尻での運営委員会は午前に行われるということなので、
農協にもらえるであろう日当を見込んで、
某コメリや某良食生活館などで必要物資を買い、自分を労い、
さらに時間があったら、某にくよしでスタミナをつけるなり、
あるいは某鳥徳に寄って、
「とにかくレモンさえ絞れば唐揚げってのはいくらでも食い続けられるもの」という、
先日、就農仲間のヤマさん(門出キヨシさん農場/坪野で美人奥さまと新婚生活中)と談笑した行為を、
たまの気晴らしとして具現化する。
ありがとう、農協基幹支店。
なるべく管内で金を落とします。

 * * *

おそらく来春、いくつかの地区で
長年リーダーシップをふるって功労されてきた発言力強い区長さんがたが、
勇退の春を迎えられるのだ、と当の本人たちが内内に宣言されている。

山中もそうだけど、選挙などを経て集落の総意でという話なので、
推測に意味はないですが、
いざ交代するとなれば、どの集落も若返りがされる運びとなるでしょう。

よそ者で移住して5年生だった自分であっても
区長一期目にこのようにお役目を務めさせてもらいましたからねえ、
という話は、後々我が身を助けてくれるような気がしている。
今のうちに、達者な区長たちにまぎれて「書生枠」でエントリーしておくと、
あとで、特典がいくつか付いてくるように思う、・・・と自分に言わせて濃い酒をあおる昨夜。

「若返り」といっても60代のセカンドキャリア組が来春いくつか、
区長に選出されて、同時にいっぱいの”あて職”に就かれるのだと思う。
20歳ほど下の自分が現在、
会議場にて、「5秒でわかる間違い探し」みたいにちんまりと座り、
時に初めて居合わせた人には二度目三度見などされながら、
それでもどうにかお努めさせてもらっている体験は、
それがどこまでの地域にもなれないとは思うけど、
少なからず我ら山中にとってはまあ善かったんじゃないの、くらいにはなるはず。
と思いながら、桑の葉茶をすする朝。
恐るべしダイエット効用か、腹が緩い昨日今日。

 * * *

たとえば、
一人がいくら力のかぎりおおきな声で、
「農業やってみたいんだー」とか、「やってみせるんだもの!」だの、
山の暮らしがどうこう、百姓がどうこうだとか、
あるいは、人によってはそれぞれに、
自分がソーシャルビジネスで社会を、だの、
「このままでは子どもたちの未来が」だの、
叫んだとしても、
その叫ぶ自分が立っている地盤というか「居住」といいましょうか、
結局のところ、「村」が継続できなくなったら元も子もなく、
やりたいことも、
さらには「やらなければならないこと」すらも、
己の足が立つ土がなくなってしまえば、
それは無になるのみ。

「ここでこれをさせてもらいたいですよ。あ、ドッコイショ」と、
自然の理にたいして断わりを入れ続け、
そのどうにか折り合いの付け方を生きる間じゅうに学びまくり、
その土地で生き、やがて少しずつ活かされていって、
その風土が自分のやってみたいことを許すかどうか、
ときどきにビクビクしながら山に土に伺ってみて、
その上で、たまに(辺りに誰もいないのを確認し)、
すこしだけおおきめの声で「やっぱりやってみてえんだよなあ。」と声に出してみる。

自分の足元も大事で、
それが立っている「村」も同じくらいの大事。

そう考えてゆけば、山中から「適疎」を考えることって、
じつは、なかなかに面白い。




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by 907011 | 2016-07-01 05:06 | Trackback