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山中記

怪し。

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というわけで今年も長岡で「ノーカの休日」を過ごしてきた。
25日AM8時には義父さんの苗を運んで各田んぼに配り、
長岡に1時間でゆき、長い長い農業系の「通常総代会」を経て、
無事PM8時にはすでに泥のように酔っていた。

 *

長岡駅前の聖地・居酒屋(という名前の居酒屋)で
マスターののれん出しを「ファンの出待ち」状態で一人店の前で直立不動し、
17時開店と同時に座る。

右手人差し指で「1」をマスターに見せる。
瓶ビールとコップ2つが並ぶ。一つはマスターのやつ。

あとは他のお客の料理を優先しつつ、
おまかせで焼いたり、炙ったり、刺身にしてもらったりなどする。
一人カウンターだとほぼ注文しないで、
黙って振り返りや考え事などをしていたり、
一息ついたマスターに「で、どんな調子だ?」と聞かれて報告や相談をしながら注ぎ合ったり、
他の常連さんや隣り合わせた客とテレビのニュースを見ながらぽそぽそ話し、
10分後に思いのほかまったく違う話題で
「キミもそうとう変だねえー。」と盛り上がったりなどする。

カウンターの向こうを料理と酒を運んで行き来するマスターに、
「あいかわらずだなオメーは、よ。」と言われ、
他の新規の客には
「こいつにあまり飲ませないでください。たいへんなんで・・・」
と諭される。

 *

17時10分の常連・サトーさんと飲み、
飲み仲間・タカオ君(酒量は多くなく、いつも介添人状態で見守ってもらう)
を待っていた・・・つもりだったが、
合流したタカオが瞳孔をやや大きくしながら、
「イトーさん、酒っていうのはそんなピッチで飲めるもんなんすか。」
と3回連続くらいで言われるほどに、
酔えば酔うほど強くなる酔拳精神でよく飲みよく食いよく話した。

 *

俺はこのカウンターに30日間連続で座っていた時期がある。
マスターに散々満腹にさせてもらって、
会計レジのところ(熱燗マシンの奥で客からちょっと見えない)で、
マスターが、じゃあと指で「1」をびしっと出し、
「すんません」と千円払っていつもアイスをかじったりなどしながら家路についていた。
(たまに携帯電話を「こんなもん持ってっから腐ってんだ俺は!」と地面に叩きつけたりもした)

 *

タカオは駅からバスに乗って別れ、
俺は21時には宿で寝ていたみたいで、
なぜか、前職場の上司O女史から
「イトー君、駅前で吞んでいたらしいね。朝、寄っていかないの?」
というメールが翌日来ていた。
(「長岡では悪いことできないよ!」とも書かれていた。おっかない。)

2時に目覚めて、枕が変わったからか単純に早寝し過ぎたか、二度寝できず、
時間をつぶして5時に風呂(浴場がよろしい安宿)に入って身を清め、
三島に新居を建てた自然農講座時代からの友達のところに、
石塚酒造「高柳」を持っていく。
凱旋門のように一階中心部が奥(畑予定地)までトンネルのように抜けていて、
二階にリビング、台所、お風呂や薪ストーブなどがあって、
じつにおもしろく、良すぎるくらいに居心地が良すぎて、
「トランペットが欲しい黒人の子どもみたいな」(ⓒ西原理恵子さん)心境になりながらも、
友達ととりとめなく、
「あら~、もうやだー奥さんて。」と
完全にスーパーで買い物かごを二の腕に下げたかのように「主婦トーク」していた。

知り合いの大工に施工してもらっていて、
まだまだ途中の部分も多く、
一階の凱旋門の玄関と対になっている側のスペースで
ああしたいねこうしたいよね、とまたも、きゃーやだーもう奥さんなどと話していたら、
レタスを持って登場した三島のお義父さま(かなり濃厚なキャラクターだった)に、
「お前、大工の仲間か?」とまず、聞かれた。

友達「いや、違います。この人は高柳で農家している人です。」
義父(友達の)「おー高柳か。俺が郵便局の頃はウンヌンカンヌン。
        門出の局がウンヌンカンヌンだったなあ。
        ところでお前は業者か?
        あと、ウンヌンカンヌンって何だ??」
俺「業者じゃないです。怪しいものじゃないです。
  いや、怪しいけど業者ではないです。」

その後、舅が施工をかなりのプレッシャーで急かし、
嫁が不在の大工をフォローするという面白光景を
「あー、どこん家も大変なんだなあ。」としばらく楽しんで眺め、
海カフェドナに寄って28年産米から29年産米への切り替え業務(?)をし、
コーヒーをいただいて帰宅。
現実に戻る。

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午後。
自立経営農業者会議の仕事を済ますべく、山中を降りて広域を回る。
先輩農家たちにたっぷり揉まれて、18時過ぎ帰宅。
このたびもよく遊び、晩酌もそこそこに寝た。
(写真は「自立経営~」の顧問・みたけ農園さんの家の前にあったハクビシンわな。
 すでに2匹獲ったそう。)

 * * *

非日常が日常を活かす。
文化が暮らしに刺激を与える。
いただいた豊富な情報や時間を、また今日からの我らの暮らしに反映させたい。
星野道夫さんが書いていた、
「感動や経験を、誰かに伝えることよりも、自分が変わっていくことだ。」(かなり要約)
を体現していたい。

さあ、今日もやろうやろう。
我らの米はこういう時間も経ながらつくられる。

 * * *

29年産山中コシヒカリ 30㎏10,000円(玄米)
まだ若干は予約対応可能です。

大量には余らないけど、
買って。山中米。

一食ずつ、一杯ずつから変わるものがあると思っています。
流通、消費も、生産の側も。
子どもも、大人も。

経済として大きくなれなくても、
農業や山の暮らしが持続可能なものとして、
ささやかながらも続いていくと自分は信じています。
飯を食うために、飯をつくる。暮らしをつくる。

一食ごとに一口ごとに、変わっていけるものと続いていけるものがある。




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by 907011 | 2017-05-27 04:18 | Trackback