山中記

会議のあとに残るもの。

雅楽のリズムの名称のひとつに
「八多羅拍子(やたらびょうし)」というものがあるそうだ。


<雅楽は二拍子や四拍子で奏でられますが、
 八多羅拍子は特殊で二拍子と三拍子が繰り返して演奏されるリズムです。
 さらに、演奏速度も速く、普通の人にはそのリズムがとりにくく、
 無秩序に演奏しているように見えるようです。

 その演奏がわけもわからず混乱したとき、
 「やたら拍子のように」という意味から使い始めたとされています。
(検索で出てきた『雑学unun』から)>

 * * *

「この町はやたらめったら会議が多い」と感じる6月のまだ半ば。
会議一回で作業している手は、それがなかった場合と比べれば
短くても3時間停まってしまうのが口惜しい。
あと早寝が過ぎる(下記のとおり)自分にとっては、
夜の会議が単純に睡眠時間を削っていくのでできるだけ出ないよう努めている。

山中移住のさきがけである、
もう一人の伊藤家のマサノリさんなどは、
「ほんっとうに、みんな会議好きだよねえ。」と半ばあきれながら笑って言う。
マサノリさんの優先順位は明確かつ確固たるものでぶれないので、
今日から山に登ってしばしこもるとの話だ。

12日。
東京の小学校がじょんのびキャンプ(?)と称してやって来るのに関連して、
農家が各戸数人ずつを受け入れる農業体験(かつては農泊)の会議へ。
我が家も子どもが生まれてしばらく休んでいたので諸事情はよくわからないけど、
今年からやりまっせーと受入れ復活してのぞんだものの、
すでに受入れ農家は4軒まで激減しており、結論としては農家個々の体験はやめて、
門出集落で米文化に絞ったもので一括して体験受け入れをするということになった。

門出和紙のレジェンド・ヤスオさんの企画なのでまず間違いないと思うけど、
残念ながらうちからはけっこう遠いし、
子どもらにヒエ取り体験させようかなどと予定していた忙しい時期なので、
我らの農家受入れ体験は終了したなあと感じると寂しい気もした。

塩沢公民館に移動してJA柏崎の中干し講習会に寄る。
(山中公民館も参加農家が激減し過ぎてなくなり、塩沢に寄せてもらっている)
卓球台であれこれキタハラ先生の話を聞いて解散。
仙田に行き、苗代16万円を納める。
サヨウナラ、飲み屋40回。

午後から草刈り、こしいぶきの落水、肥やしまき。
シャワーにも入れずに寝落ち。

13日火曜。

未明にシャワー。
寒い陽気が続いて、コシヒカリ稲がよく太っていない。
草刈りして振り返ったら、
「沢っこで一人で騒いでたらクマが来るぞ。」とタモツさんが来た。
植え付けしなかった田んぼ2枚を見に行き、現場打ち合わせ。
俺が帰飯したり草を刈ったり泥を上げたり、
健康診断に行って「肝臓が・・・ね。」と指摘されたりしている間に、
タモさんがおおよそ7時間くらいで
田直し2枚と乗り入れ4カ所をやってくれた。
さすが重機職人、仕事がはやい。

一服時にブラックコーヒーを選ぶタモさん、
「なー、いっときそこでそのまま缶持ってろ。オラがフタ開けるすけ。」と、
やおら重機に戻って乗り、エンジンをふかし、
ユンボのバケツの爪で缶コーヒーのプルタブを開けそうなレベルで、
あの職人らは掌で撫でるかのように重機を使う。

日没前に重機をザリガニ池まで歩かせ、子と風呂に入り寝た。

14日水曜。
重機代を精算。
自分の名前で自分に請求書を書いたり、ハンコをついたり、支払いをしたり、入金をしたり、
金融窓口でやっていること自体はかなり怪しいけど、負担者兼会計だからしかたない。
職人にも金払いを早急に済ませて、残った重機を洗う。
またまたサヨウナラ、飲み屋13回分。

昼から来客で昼寝レス。
「なんで13時なんだよー。早いよなあ。」とぼやいて待っていたら、
13時半待ちあわせの勘違いだった。
振り上げた拳の下ろし所レス。

肥やしをまいて草を刈り、
この晩は酒を飲んではいけない夜(胃がん健診のため)だったので、
ノンアルビールをおかわりして飲んでがつがつ食っていたら寝ていた。
2時に目覚めてシャワーを浴びる。寒い。

翌朝木曜。
朝飯抜きで水分も5時以降とってはいけないという鬼の胃がん健診(?)につき、
夜明けダッシュの草刈りは中止して、よく寝た後、
朝飯(ないけど)前に自家採種こんにゃくを植えるなどして時間をつぶす。
胃がん健診で初めてバリウムを飲む体験。
バリウムよりも胃を膨らます薬がおかわりしたいくらい好みのラムネ味だった。
検査にたどりつくまでに2時間待ちつくし、ようやく解放。
これも人生初かもしれない下剤を飲む一方で畑の草刈り。
振り向くと”まごすけ”さんが背後に居て、「ケンタッキー」をいただく。
夢中になった後、振り向くとわりと誰かしら居るものだ。
ケモノでないことが救い。

午後、大腸がん検診に検便を持参する道中、
山に登るトレーニングとしてすでに2,3回山に登って来たというマサノリさんとすれ違う。
「明日にでも脳ドックを受けてくるように。」といわれる。

夜、禁酒令から解放され、矢継早に酒を飲む。
脳ドックの話を家人にしたら、
「生活習慣を変える覚悟はおありか?
 タバコは?酒は?
 しょっぱいものを食べないようになる気はおありか?
 しょうゆをやたら拍子のようにつけすぎたり、
 枝豆にさらに塩をかけ直して食べたりする東北人の慣習を捨てる気はおありか?」
と質される。
ひとまず酒の継続だけ保留ということでやたら拍子は鳴り止まない。
が、すぐ眠くなり、また風呂入れずに寝落ちした。

本日の会議2つ。
夜は「情報交換会」で篤農家たちと酒を交わすので、
「しかたないなあ、まったく。」といいながら小走りでのぞむ。

 * * *


<ぼくが経験したことで言いますと、
その意味での「楽しさ」というものは、きっと、
苦しさを抜けていないと掴めないんだと思います。
「板一枚の下が、もう深海だ」とでもいうような意識を経た後に、
最高の楽しさがやってくるような……。
ものごとに一面があるとしたら、表と裏の両方の知識と経験を操縦できる自分になりたいと思っています。
清潔な部分を欲しがるならば、廃棄するものも、
同じくらいのパワーで処理する必要がありますからね。
(『調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)』から)>





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by 907011 | 2017-06-16 04:34 | Trackback | Comments(0)
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