山中記

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もう一段低いところで。

時計回りにものを見る癖があるらしい。
そういえば小さな島を歩いている時の眺めは決まって左手に海で右手は垣根だった。
(あと、左手には缶ビールが貼りついていた気もする)


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訪れることと住むことは違う。
「ここは良い眺めでしょ。だからここはワタシの好きな場所なの」と言う人の
多くが言う「ここ」はここじゃない少し遠く、ただ向こうの景色を指していたりする。

そこを見て過ぎていくこととそこに住むことは、性別のような一つずつのこと。


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自然がすべてを原野に戻そうとする力は、
現代のニンゲン生活にとって、
緩やかな被災ともいえる力だと思う。
草木も水も土も雪も全部そう。その力が永久に続く。



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今季もいろいろ勉強させてもらい、貴重な収穫期となりました。

お義父さまは休みを取り、稲刈り6連休にしたのに、
結局その半分は俺の柔らか田んぼでズブズブと潜りながら、手刈りに費やさせてしまった。
中途半端に足が潜るとどうにもやりにくいので、1枚は水をドボドボ入れながらの稲刈りとなった。

実験田には沢ガニやドジョウもおり、さらに生き物が増えていた。
今年は草取りが二回で済んだけども、田んぼの泥の臭いはまだ思わしくない。

我が家が一年食う分は稲架にかかったので何とかなるでしょう。
ワラと鶏どもの床を入れて、果たしてどれくらいの米になるか。

 * * *

来年から田んぼをだいぶ増やしてやらせてもらう運びになった。
機械のこと、肥料農薬のこと、集落の田んぼはどう維持し得るのか、
巷では賛否両論いろいろな議論や情報がすぐ氾濫するけど、
自分のような見習いなどは、とりあえずこの土地の流れにまんまと一回乗っかって、
いろんな田んぼで実践を重ねてみないと何も一つも分からんなあと感じた。

注文を付けるのは自分がその清も濁も併せ飲んだ後にすべきで、
いたずらにただ賛否を語ったところで、それはインターネットに並ぶ情報と同じか、
足元から離れたところで非日常の議論に参加する自己陶酔に終わる。

いい加減そろそろ歳相応に仕入れる情報は少なくしたいと考える、とりわけ今日この頃。
もう一段低いところで考えたい。

要らない情報がどうも多すぎる。



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by 907011 | 2013-09-27 05:28 | Trackback | Comments(0)

山中農工部。

最近、「百姓のそば屋ふかぐら亭」のブログが、
店主ヒデキさんへの聞き書きかというほどのヒデキ口語文体で目が離せない。
あれはもはやヒデキ以上にヒデキである。


 * * *


今日の午後。
山中の「農工」を教わりに、”ばんきち”でお茶をいただく。

わからないことは続くのだね、と思っていたら、
本当にわからないことは続いてゆくのだね。

自分が住みたいと思った集落で湧いて出てくるような、わからない”それ”を聞く分には、
わからないことを教えてもらうこと自体がひじょうにしっくりきてなおかつ心地よい。
しかしながら、こと”それ”が例えば他所もしくは広域のことになった途端、興味は色あせてしまう。

「わからない」という状況がいろんな角度から、そして慢性的に続くと、
脳は徐々になすすべなく単に疲れているだけの状態になってしまう。
だから、それを避けるかのように、「自分のわかっていること」に固執するか、
あるいは「すごくわかりやすいこと」を探してそれを出してきたり大事に磨いたりするのだとも思う。

執着と愛着の差は大きい。


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「うす挽き」の準備を習う。
百姓見習いの自分でありますが、
とかく田んぼというのは植える頃よりかずっと収穫した後の行程が難儀なのだと感じております。

種まき発芽し、苗を植える。水を見る。花が咲き、穂が出る。刈る。
というところまではいわゆる理科の学習的にも合点を得られるところと思いますが、
その後の脱穀、乾燥、籾摺りうす挽きなどというのが「稲刈り」の後半仕上げ部分になります。
そこら辺がたぶん、自分のような非農家で育った見習いの「想像」が及びにくい部分です。
籾を一粒乾かすだけでも大変なのに、
その籾がいざ今年の米びつで保存される米になるまではだいぶ手数がかかります。

脱穀(刈った稲から籾を取る/稲こき)はコンバインでは稲刈りと同時にされます。
また、はさ掛けの場合は、手刈りかバインダーで結束し、
乾燥した後、ハーベスター(もしくはコンバイン)でこくパターンがあり、
山中でもまだはさ掛けを頑張っておられる家が少なくないです。

ちなみに去年、小屋で見つけた千歯こきを使ってはさ掛けした一部をこいてみたら、
あれだけでもものすごく大変でした。


 * * *


ばんきち父ちゃん(重機の職人)と私(気分の波が激しい)。
違った意味で「動かざること山の如し」と噂される山中の二大山が昨日は動いた。


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籾を入れて、もみ殻が出たり、くず米が出されたり、ゴミが出たりするいろんな過程。
ピタゴラスイッチ的に連なっている筒の中で起こる、
分からない者にとっては本当に分からないブラックボックスな過程を、
自分の想像内の側へと手繰り寄せる秋。

この「もみがらホイホイ」もまたそれを教えてくれるのだと思うが、
残念ながら山中公民館でうす挽きしているのは現在1軒しかない。
かつてのノートを見ると、わら打ち、縄ない、よりもどし、また製材も
この公民館で割と最近まで行われていたことが記されていた。

「面白い」ということは、自分の面(つら)の前が明るくなる(見える)ということ。
季節は本当に早い。

四季に添った動きを躾けないと、
季節から矛盾すれば、自分の一歩は、なおさら流れに逆行し、
いたずらに時間を早めるだけの一歩になるのかもしれない。
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by 907011 | 2013-09-18 07:00 | Trackback | Comments(0)

アースダイブ。

9月4日。
高柳の石黒地区と柏崎の鵜川地区とを結ぶ地蔵峠を行く。

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石黒という地に一つの村社会がつくられたのは、
鵜川側から地蔵峠を越えて来た人々によってなされたのではないか、
と寝っ転がって読んだ『じょんのびだより』に書かれてあった。


この地蔵峠越えの道は、冬季の名だたる豪雪のため、通行は難渋を極めた。
もちろん降雪時に峠を越えようとするものは少なかろうが、
初冬や春先の融雪期に旅を急ぎ、山岳特有の天候を予測できず、
吹雪に道を見失って遭難死する、といった悲劇は幾つか言い伝えられている。
峠の地蔵尊も道筋に散在する石仏も、もとはそうした遭難死を供養するものであった。

『じょんのびだより Vol.66冬号』


この9月4日に行われる地蔵尊の祭礼には、
石黒集落と鵜川集落双方から住民が地蔵峠を上って会する。

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会した全員の背負ったリュックは地蔵尊の中にいったん預けられ、お祓いを受ける。
玉串を捧げた後、各リュックは外に出され、お祓いを受けた飲み物、食べ物で宴会が行われる。
お酒はすべてお神酒と化し、手づくりごちそうが車座の中をぐるぐる回ってつままれていく。
手動式回転郷土料理屋。
マサカズさんとイトシさん夫婦にいっぱい酒を飲ませてもらった。

かつてはこの地蔵尊からのお神酒を隣近所と分け合うために多めに持ち帰り、
夕方には再び集落で峠に上がれなかった人と注いで注がれて宴は続いたのだという。
マサカズさんの飲み物入れには、手を付けないコーヒーやリポDなどがあった。
年寄りに飲ませるんだろう。
周りの皆さんも相当にリュックがパンパンに詰まっていた。
気付いたら祭礼だった。


石黒というかつての村には、小さな集落(1集落3戸など)が散在しており、
雪深く、合併してますます辺境であり、そこに百姓たちが暮らしている。
「高柳」の縮図のように思える。


峠から戻って門出へ。
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「じょんのびツーリズムの会」は”なつかしい未来”を手探る会。

この日は、はさ掛けに使うわらのロープ「ぐみ」づくりの会。
数日前にさやのジサに習ったのだとニコニコ笑う門出和紙・ヤスオ親方に習う。
人生初三つ編み。

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門出は今月に高柳2人目の導入となる地域おこし協力隊(活性化支援員)の女性が増え、
門出和紙に集う職人さんたちに加えて、いよいよ若い女性が多い感がする。
かやぶきの宿を活用した交流は幅が広く、論客も多くますます前衛的な集落だと思う。


自分もここ一年の本末転倒な暮らしを省みて、
あらためて清貧なる乞食百姓の道をと企んでいる次第です。



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by 907011 | 2013-09-11 19:18 | Trackback | Comments(0)

熟睡。

「作物は作る人の足音を聞いて育つ」と聞いたので、
なにせ必要以上に足音だけは聞かせた。

草取りが今年は思ったより順調だったので、
こりゃあ肥料も農薬も使わないでいけるなあ、
なんてほくそ笑んでいたのが半月前のこと。


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起こそうとしても起きないほどによく寝た。
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by 907011 | 2013-09-08 12:55 | Trackback | Comments(0)