山中記

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ゴルゴ13。

少しずつ段取りが身体に染みついてきたおかげか、
朝ほんの少しだけ他のことをやる余力が付いてきた。
久々に鶏を朝に放す。
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油断するとハサの一段目の米が次々に引っぱられて、
それを見たスズメどもが真似して寄ってたかって下の米を軒並み食う。

さらに油断すると、ハサの陰で見えなくなっている畑で
農繁期にせっかくまいたカブや野沢菜の新芽などをつまんでいることもあり、
「出さなきゃよかった」と枕を涙で濡らす光景が懲りずに毎年繰り返される。

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久しぶりに山中茶をつくる。
「ケツメイシ」(決明子)を刈って日干し。
花と葉っぱがとても柔らかげで美しいと思ったらお茶にできるようだった。

正式名称「エビスグサ」(夷草)。生薬名はケツメイシと呼ばれるらしい。
目の疲れ、肝臓強化、強壮etc.・・・いいじゃないかケツメイシ。
(俺のお茶の教科書より)
http://homepage3.nifty.com/kenkoucha/ebisugusa-kenkoucha.html


ニンニク植えるところまではいけず。
去年の出来は悪くないと思ったけど種にするものは残っておらず買って増殖しよう。

 * * *

インターン生・細田君が普通の大学3年生に戻り、
我ら山中のムラの人らにもまたそれぞれの山中時間が戻った。
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すでに”稲始末”(故・亀吉日記にあった言葉)を終えた家も多く、
貯水場(?)の柵はどっかの家のコンバイン袋が干されていた。
「交通安全」のノボリとよく映える。

この集落入口のランドマーク的存在である貯水場(?)と、
その道路を挟んで反対側に建ったソフトバンクの塔。
さらに、そのまた前方にある集落最初の家”まごすけ”は
夜に人や車が通るとセンサーでかなり明るいライトが煌々と20秒くらい灯る。
「山中のシリコンバレー」とも呼べるデルタ(三角)地帯である。

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月ヨメ沢の入口ではマサノリさん夫婦が借りた田んぼで手刈りをしていた。
今年は田んぼの中に移動バサを立てて干すのだという。
「いやー直樹さん。米刈ってるんだか草刈ってるんだか全然わかんないよ。
 ”これ意味あるのかなあ?”と段々思えてきたんだけど…」とマサノリさんは手を停め、
カズミさんは背後で静かにほほ笑む。

スズメやネズミが食べた跡も見受けられたので、「これがそう」と教えると、
熱血炎の男マサノリさんは予想に反して俄然目を輝かせ、
「本当!?そうなのー!えー、すごーい。
 いやー、ネズミやスズメが食ってくれるんだったら作った甲斐があったねえ母ちゃん。
 おいしいんだよ、たぶん。いやー大したもんだ!」と感動していた。

すごいです。前向き過ぎるほど前向きな夫婦。
山中の若手長期移住者の先駆者たる所以をここに見た。
素敵です、”きゅうのすけ”の伊藤家。
我が”ふじみや”イトー家はかなり「陰」だからなあ。
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一服の時にある樹。なんだろう?
ハナイカダでもないだろうし、葉の上に液果が乗っていて、食べると少しだけ甘い。
一服を終えて「よし」と田んぼに向かう前に口に入れてしゃきしゃき食べる。
中に種が一粒だけ入っていてブドウのよう。
田に入る手前の用水をまたぐあたりでぺっと種を落とし、田に入る。
(どうやら、虫えいという虫の卵らしい)
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そんなこんなで稲刈り二人班に途中イサオさんが半日手刈りに来てくれたおかげで、
4日かけて、ようやっと”大きい田”(16a)を昨日刈り終えました。
達成感はなかなかだけど残念ながら収量は少ないという結果。
それにしてもやたらめったらハードな4日間だった。

今日からやっと上の一枚に登れる。
いよいよ更新できた。残り13枚。
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とうとう9月中には刈上げが出来なかった。
部落の最后だった。
それでも今日1日降らなかったからよかったのだ。
『石塚亀吉3年連続日記』(未刊) 1996年9月30日


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by 907011 | 2014-09-30 05:08 | Trackback | Comments(0)

ジュウシマツ。

細田くん、帰路へ。
隣りの家に灯りがともるのを一カ月毎日喜んでくれた”りぜもち”のオテさん。
朝帰るというのを昨夕に聞き、ホウキと塵取りを持って後始末に来てくれた。
イサオさん一家とアイドル犬フミエと反対隣りの”やごえん”のじいさんに見送られ出発。
しばしのお別れ。
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新潟駅で日本酒のドリンクバーを楽しみ、
高速バスで仙台に降り立って牛舌ナイトの予定だったけど、
20時頃盛岡のアパートに無事戻ったとの電話をもらった。
あと30分後には俺は寝ていたので良かった良かった。

一カ月間、携帯電話もパソコンもテレビも、
およそ世間とつながる電波とは無縁だったストイックな暮らしを満喫したので、
浦島太郎状態で社会復帰にはまだ時差ボケがあることでしょう。
(電話でも「いや~変な感じです。若い人がいっぱいいるんです」と笑っていた)

俺にしても、これをもって再び山中最若造に立ち戻ったなあと想いながら、
昨日も稲を刈り、その場で生脱(脱穀)をひたすらした一日だった。
二人稲刈りの静かな時間がなおのこと静かなものに感じた。
と書けば感慨深く噛みしめているようですが、
俺の方の現実は甘くもなくて、依然として”大きい田”(最近手帳には「大田」と記す)から進めず。
あと3割くらいか。
今日決着を付けて一枚上に登りたい予定。

いずれにしても今がけっこうな佳境に差し掛かっており、満身創痍ピーク。
友達に藤吉豆を渡したりしたいものの、朝から晩までまったく他のことに時間が割けず参った。
こうしている間に藤吉豆はタヌキが食い倒すので、
せめて種採り用に網で囲いたいし、ニンニク植えなど畑の時間もつくりたい。
おそらく家人が居ないと鶏どもはすでに餓死してると思う。
手が回らないけど、あれがしたいこれもしたい病。

参ったので、昨日も「隣りの空家」をちらっと覗き見して一息ついた。
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台所。
我が家の台所も林が目の前で小動物を見たり、
その下の畑でトクイチ翁が稼いでいるのを眺めたり、
ニイチロウさんが遠くの道から徐々に回覧板を持って歩き近づいてくるのが見えたりと楽しめたけども、
この台所は月ヨメ沢の田んぼの水につながる山々が見られる。
未明からの来光、朝焼け、深い霧、夕焼け。本当に素晴らしい光景だと思う。
ここん家の玄関先で自分は何度も写真を撮ったり、夜明けを眺めて一息ついたりした。

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新たな玄関口。
ちょうど山砂?が盛られてあって、海へとつながる道のようですが、
この先には海はないです。稲架と畑とひたすら田んぼへ降りる道が一つ。
冬、どのように道がつけられるか(ここも除雪車とは無縁なのでかんじきで”歩ける道”をつくる)は未定。

さて。稲刈り残り14枚。
大きい田、4日目。がんばろう我ら。
今日は肉の日。食卓に並ぶかどうかはともかく肉の日。

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by 907011 | 2014-09-29 05:52 | Trackback | Comments(0)

14日後は「狐の夜祭り」。

山中研修生第1号・細田浩貴くんもいよいよ最終日となった。
(ワタシの稲刈りは依然として明日が見えません)
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昨夜。
研修の最終報告と慰労会が開かれた。
撮りためた写真と「外から見た山中の暮らし」をプロジェクターで映しながら発表してもらった。

また、日々の記録を一冊のノートにまとめ、
細田くんの好きな山小屋ノート風に「次なる人へ」と公民館に寄贈がされた。
振り返りの中で彼は自分を指して「研修生第一号」と称し、
今後も山中の暮らしが持続されるための一つの試みとして、
こうした人材受け入れを継続してもらえるようにと集落のみんなにお願いしてくれた。
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                                  (アイサノミヤさま)


俺も受入れ側の振り返りと今後についての考えを簡単ながら話させてもらった。

募集にあたり「山中で一カ月何ができるか」を大まじめにイサオさんと考えてみたら、
結論として、何でも「体験」になるし、とくに暗い材料がなかったということ。

それぞれの持つ山中時間と協働作業が合わされて、
過疎ではなく、「適疎」(ちょうど良いバランス)を山中から考えることができるんじゃないかということ。

そして、貴重な時間の中での集まりだったので、
「次の一手」についても私案を出させてもらった。
「住みたい人が住んでみる」ための支援を、次は長期的に考えたいというもの。
1年~3年で募集案を練り、冬の暮らしも実感してもらいたい。
例えば1年間、山に寄り添う四季の暮らしを広く体験し、
今度は彼彼女が、外から山中の暮らしを見に来た人に対する「案内役」(世話人)になってもらう。
つまり、次の「次の一手」へ。

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という堅苦しい話はささっと済ませて乾杯。
せんべい汁も好評で、細田センセイも大いに飲み、最後の爪跡を残してくれた。
よく笑い、よく話し、良い夜でした。
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「いいかヒロキ君、社会ってのはそんなに甘くないよ。
 酒ばっかり飲んでただ闇雲にヘラヘラしているとうちのお父さんみたいになるんだからな」
と岳はふがふが話し聞かせていた。
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カワシマさんのアコースティックライブ。相変わらずええ声だった。
昨夜は会場が盛り上がり過ぎだったかも。
そして熱血炎の男・マサノリさんは、昨夜もギターのチューニングだけで「おーっ!」と燃えていた。
山中の唄は素晴らしい。細田くんも歌っているねえ。
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ニイチロウさんの一本締めの後、「やまなか、バンザーイ」をもって中締め。
「よし、じゃあ帰るぞガク」といって連れ去るヒコスケさん。

集落の皆さん、遊んでくれた皆さん。一カ月本当にありがとうございました。
良い時間でした。

 * * *

ただし稲刈りは昨日も難航。
今季の山の田んぼ最大の”大きい田”に再度挑んだものの、
一列目で機械が沈み、待機させていたトラクターで沼から引っぱり上げた。
怒涛の二人手刈り。
歌曲『魔王』(テキトウバージョン)がよみがえる。

戦意喪失気味で飯を食いふて寝をしていたら、唐突にフミエが入ってきた。
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寝ぼけていてよく分からない状況だったけど、とりあえずなでておいた。
「おー申し訳ない。ほら父ちゃん稲刈り行くぞ」と、
沼への戦意喪失を見かねたイサオさんが”とうろ”(助っ人)に来てくれた。
3人だとやっぱりはかどるし、不思議と元気も出てくるものだ。
空元気も元気のうちで、動いていれば何とかなる。
夕方になってバインダーも動かして1反6畝のうち6割くらいは刈って置けた、と思う。
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by 907011 | 2014-09-28 06:57 | Trackback | Comments(0)

稲刈り二人班。'14

雨のお陰様で稲刈りも停滞しており、
いつの間にかやっていた”日記タイトル内カウントダウン”も
「16」(稲刈り残り16枚)で足踏み。

昨朝。ふと「十六夜日記」を思い出し日記を書いていて、
カメラを覗かずに撮るという新境地に触れたのですが、
まさにその昼休みに読んだ「写真がもっと好きになる。」というコラムのタイトルが、
カメラマン菅原さんがアラーキーに教わった「ノーファインダーで撮れ!」というものでたまげて読んだ。

読み終えた午後に稲刈りをしながら考えてもみた。
たしかに、液晶が壊れる以前から、最近特に人の表情を撮りたいなあと思った時に、
カメラは自分のあごの先30センチくらい前に持ったまま、
写真の中の対象者と話しながら撮ることが多いなあと気付いた。
例えばこの時とか。
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相手の表情から視線を外さずにカメラを構える手法は我ながら怪しく、
「盗撮マニアみたいだよなあ」とも思ってましたが、
こういう風に物語になると、背筋も15度くらいピシッと真っ直ぐになりました。

このときは、ファインダーは遠目でも見ていません。
被写体を見ながら、
自分との間にカメラを置く、という感覚です。
だから写真が運動的になり、
撮る気楽さも生まれます。
そして「何を見ているか」の中心があるので、
ただ構図がいいとか、そういう写真ではなく、
はっきりと写したいものが写る写真になります。
(菅原一剛『写真がもっと好きになる。』


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午前の月ユメ沢は、日が射す箇所が極めて少ないので朝露びっしり。
田の端っこなどを手刈りして昼となる。
ここの田んぼ(正式名称:「”りはち”の小さい方の田」)は、
かっぱ(株)一つ一つが大きくて粒もでかいと義父さまにも褒められた。
ただし、要因は本人もよく分からず。つくった本人も驚きの表情。

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午後。我ら二人稲刈り班は今季もっとも難儀な山側の「沼」にダイブしてみた。
正式名称”大きい田”は1反6畝で一番でかい。
ひしゃくで水汲みに通った山側の一列目ですでにバインダーが潜って動かなくなってしまった。
しかもタイヤを湿田仕様のパタパタするやつに交換して万全だったが見事沈んだ。

動かなくなった機械の周囲を昔の山の田んぼスタイルで太ももまでつかりながら手刈りし、
以降、沼の真ん中にさしかかると俺がバインダーの爪を昔の牛の鼻取りスタイルでひっぱり、
後ろから父ミチヒロが「ふおー」と雄たけびながら押した。
もはや稲刈りどころではなく、ただの泥に沈みかけている重い物体を引っ張る儀式みたいになる。
重過ぎるわ太ももまでもぐった足のどっちを次前に出せるかも分からなくなる。口の中まで泥を食う。

お互いの失意が交錯する難儀ぃ時間を経て、
やっと山側の横8列(田植えの都合で縦の植え方と横の植え方が端で交わる)を刈る。
二人稲刈り班の様子はほぼ写真でお伝えできないのが残念。
あのコンディションは鼠径ヘルニア級。はらわたにどっしりきます。

刈った大量の束を道に運び出す余力もなく消耗したので、
水を飲んでふたたび”りはち”の田んぼに戻って刈り始める。
日暮れまでかかって、温泉付き分譲田んぼ”もんじろ”と合わせて2枚刈った。

お昼の時点でいよいよ残り16にちなんだ単語も思いつきにくくなり、
ひそかに「山本五16(いそろく)」でいこうと企んでましたが結果オーライ。
残り14枚。モーニング娘。'14風。
もはやメンバーの顔も名前も一人も分からないけど。

 * * *

太ももまで呑みこまれた沼がよほどしんどかったため、俺は帰りの軽トラの中でもうろうとしながら、
シューベルト作曲の歌曲『魔王』っぽいフレーズを口ずさんでました。
「お父ーさん、お父ーさん、魔王がいるよー」
(『魔王』はゲーテ作詩ですが、何となく湧き出てきたため、調べたら正しい日本語訳ではないです)。

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他の田んぼを刈って、田んぼ内現実逃避したので、
今日あらためて”大きい田”に挑んできます。

今夜は研修生ホソダ幹事長がムラの人たちを集めて、
山中の暮らし体験について最終報告会と慰労会。
南部のせんべい汁を振る舞ってもらいます。
俺も受入れ側の感想を合わせて報告することになり、稲刈りしながら考えねば。

怒涛の稲刈りで俺は特に何もできないままに、
ホソダ政務長官は明日AM8時に1カ月ぶりに岩手までの帰路につきます。

「山中のグッドバランスを追求し続けてきた結果、
 俺の家庭内だけがバッドバランスになってしまった」とやや曇った顔で語り、エアロビをするイサオさん。
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by 907011 | 2014-09-27 06:23 | Trackback | Comments(0)

十六夜(いざよい)日記。

「便」の話。

疲れ、よく寝た、そしてよく起きた。
未明に携帯電話メールの受信時刻を見ると、
「あ、昨日もまた20時半には寝落ちしたんだねえ」というのが分かって便利。

月ヨメの田んぼに居ると携帯電話の電波がほとんどの場所で届かなくなるため、
ドコモの着信留守電メール?がかすかに送られてきて何かの用事を察知したり、
こっちも電波がぎりぎりの位置でかろうじてカタコトの言葉のメールを送ってみたり、
不便と便利と表裏一体型携帯電話(メール)。

 * * *

農家仕様のデジカメを買おうと、Gショックみたいなのに出逢えた今春。
・・・から10日後くらいにバイクで家の前のカーブを下っていたら出会い頭にネコがいて、
雨の日だったので急ブレーキして即転倒。
耐ショックカメラでも液晶画面はどこも一緒みたいで、
たまさかズボンの右ポケットに入れていたカメラが地面に間接的に強打され、
以降、ファインダーがもともと無いGショックカメラは心の目で撮影しなければいけないカメラに変わり、
いざ写真を撮ろうにも、坂本龍馬の時代のように
対象物や対象者に対して「どうかあまり動きませんように」と祈りながら撮るようになってきた。
心の目が鍛錬されて良い。あとカメラ依存度が減った分、ほかの表現方を考えるようになった。
不便化、便利化。

 * * *

業務上の諸事情にて「俺はしない」と何となく思っていたフェイスブックを使うようになった。
使い方がいまだによく分かってないまま、
自分は長年続けてきたブログをただ闇雲にリンクさせるばかりなので、
もっぱら人様の日常生活を垣間見るページという認識。

人の数だけ日々の暮らしはあるもので、
スマートフォンからの写真で伝えるという3,4行日記が主流のように感じる。
それでも読んでいれば際限がないけども、
人様の日記を見て唯一利点があるなあと感じるのは、
シティもしくは平場の暮らしを簡易に覗き見することで、
よりいっそう自分が山中から下界に降りずに暮らしに没頭できるようになったということに尽きる。

自分のための不便か便利か。
人様のための便利か不便か。それが問題だ。

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ホソダ防衛大臣が着任間もない頃に急きょ催された岡野町”じんべ”ナイト。
(理由はこの日、婆さんがショートに行き、母ちゃんが旅行で出払ったから)

写真のピントが上部の電灯から垂れる紐に合ってますが、
なぜか洗濯バサミで吊るされているのはインスタントみそ汁。しかも途中の。

 * * *

雨降りで現実逃避の2日間を経て、
やっぱり(当たり前だけど)変わらず、稲刈り残り16枚。

「まー、のんびりやろーそ」とお父様は言うが、二人稲刈りを続けてきた結果、
「3人居ればベストだよな」という真実に薄々二人ともが時を同じくして気付き始めたこの頃。

明日はホソダ地方創生相が研修報告をし慰労会(主催:山中ら「適疎」を考える会)をするので、
今日は一カ月の研修総まとめ作成に努めてもらう予定。

大丈夫かなあ、感想ちゃんとあるのかなあ、何か感じ取ったのかなあといろいろ不安で、
ワタシなど、稲がなかなか手につかない。

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便を肥やしに使ったから「便利」というのかも。
下肥(しもごえ)。

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by 907011 | 2014-09-26 06:49 | Trackback | Comments(0)

十六進法。

昨朝。
軽トラに積みっぱなしで残してあった稲を
”下の上塚”のはさに掛ける。
隣りの”ごすけ”のはさから笑い声が響き、見れば
ハルキさんのところには「子ども自然王国」のシェフ・オガワさんが来ていた。素敵。

パンをかじりながら寝ぐせ不精髭のイサオさん(本職は公務員。稲刈り休み中)が現れ、少し話した後に、
生産組合の作業場でホソダ先生を目撃。
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久しぶりにカメラを向けてみたら米袋持ちながら一応笑ってくれた。
笑ってくれたけど背後のトシコさんはさらにほほ笑んでいた。

イサオさんもシゲルさんも、
ライスセンターに刈るのを待てといわれた米たちを山中で乾燥調製しようと言ってくれる。
刈り取りと生産組合の人手とが上手に組み合わせて回るのであれば、
むしろ山中の内側でお金と時間とが循環される方がはるかに気持ち良い。
グッドバランスは小さな循環(有形無形は不問)で構築されていく。
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そんな合間も作業場の裏に回り、黙々とヌカロン(もみ殻の袋)を交換するホソダン。
しかしまあセンセイよく働くねえ。
みんな感心してます。感謝されております。すでに別れを惜しまれております。
良かったねえ。
ラストスパート。
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昨日は諸般の事情により稲刈りできず、
実は人には言えなかった、畦の草刈りがはかどった。
稲刈り突入の前に山中インターンプログラムに夢中になり過ぎて、
自分の仕事が後回しになっていた。

「まーホソダ幹事長に手伝ってもらえばさっさとおわるか」とたかをくくっていたら、
ホソダ官房長官は農繁期の訪れと共に引く手あまたのすっかり遠い存在となってしまい、
夜もあちこちのお宅で一番風呂をもらった後酒とご飯をいただくという、一晩でヨネスケ3人分くらいの活躍をしだし、
一方のワタシはというと日頃から飲み会がなければ20時に布団に入る(3時起床)というすれ違い生活でなかなか会えず。

写真は見づらいですが、今季の畔豆シリーズ第三弾の「秘伝」。
思ったよりも甘くて美味かったけど、毎晩タヌキにかじられており、実はほぼ半分に。
タヌキは2粒あるサヤの豆を下の一粒だけパン食い競争みたいにかじっては別のサヤに移る。
トクイチ翁に習ってかじられたサヤの下の方をはさみで切り落としながら、
獣との間接口付けで茶豆を堪能。
先月の畔豆「越後ハニー」よりもタヌキのかじりつきが良いから美味いのでしょう。
しかし網で囲わねば売り物には使えない。
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夜、”門出のマドンナ”の座を狙う、地域おこし協力隊のミヤザキユミコ隊員が遊びに来て、一緒にご飯を食べる。
明るいだけで基礎点70~80点くらいはクリアーだなと彼女を見ているとネクラな自分などは痛感します。
山中も長期的に明るい隊員を誘致したい構え。

食事後、しばし家人に整体を施してもらう。
彼女の数ある謎の特技たち(直近のプロフィールは「役者志望」だったはず)の一つ、
整体は高柳のジサバサどもに言えば需要が大きいと思う。
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岳はおっ母がいためつけられているようにしか見えないらしく、
終始周りをうろうろして泣き叫びまくっていた。
施術がもはや黒魔術か何かの儀式に見えるみたいで、
彼は彼なりの施術でもって悪霊ミヤザキを母体から追い出すべく
あの手この手を施しては泣き叫び続けておった。
昨夜はそれを見ながら軽快に酒を飲んだ。

雨。
稲刈り、残り16枚。
がんばろう、我ら。

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by 907011 | 2014-09-25 06:16 | Trackback | Comments(0)

台風16号と我ら。

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「依存」の難しさ。

昔、あっちの村やこっちの村でイソウロウさせてもらったとき、
人生の深みにはまってしまい、しばらく立ち止まって考えた考えた考えた。
暗闇から発作的に小さなノートを引っ張り出して、これまでの自分の動きや流れを書き殴り、
その時々の自分の内省を振り返り、また後付けでどうにか「意味」を見出そうと書き加えたりして、
とにかく悩み抜いた。

「10年経てば笑い話だ」、と昔見た映画であったセリフ。
悩みというにはスケールの小さい私事で、
大事を抱えてどうにもならないやっていけないと思っていたけど、
おそらく笑われる程度の小さな挫折だったのかもしれない。
(当人は「いつか社長さんになったら我が社史の中のページ数をだいぶ割くであろう、
 ワタクシの深い挫折(と転機)」のようなつもりですが)

考えている最中というのは「病」みたいな状況で、
そこから「抜け」そうになった時にはじめて、自分の考えや言葉は「意味」を帯びてくるのだと思う。
モノクロに一つ色が入る瞬間みたいに。

そんな綺麗なもんでもないか。
世の中、自己肯定だーって叫んでた人もいたなあ。

 * * *

そんな発作的ノート整理をし出した最中(〇さいちゅう、×もなか)に、
居候させてもらっていた下田村の北澤センセイとビールを飲みながら、
「オレはすべてにおいて居候で迷惑かける側でしかないのでダメなんです」と打ち明けたら、
「人間は誰でもそれぞれが依存し合っている生き物だからOK~。
 いいじゃないですかイトーさん、今はイソウロウで。
 ついでに言うと貧乏の底も経験しなさい!」と
予想外の方向へ、どんっと背中を押してもらった。
「ワタシなんて、大学の下宿に親が夜逃げしてきたこともありましたからね。
 うふふふふ。あれはたまげましたよ」とセンセイはいつも笑いながらイソウロウをいなしていた。

センセイ、俺も親になって、農家になった。
参らなくてはいけない「イソウロウの親」があちこちに居る。
もう少しがんばらなくてはいけない。

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昨日は大きく意気込んで早朝にコンバインをオクサの田から月ヨメ沢へと動かした。
が、農協ライスセンターより、
「今日明日は機械が一杯だから刈らないで下さい」との連絡があった(しかも朝に義父から伝え聞いた)。
ザ・依存。

先月降り続いた雨で過去最悪のコンディションに加え、
また予報に雨マークが出て、一刻の猶予もないと考えていたけど、
考えることというのは誰しも相似形をしているのでライスセンター一杯一杯。
山中でどうにかできる段取りを考えて、できることをできるようにしようと昨夜はマツナエ家で一杯。

山中の内側でできればそれが一番だと思う。
「おうちがいい」とワタシも思う。

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しょーがないねということで、一番大きな田んぼを刈れず、
後回しの予定だった稲架掛け米の分を先行して刈った。
月ヨメの藤美屋の三角田んぼ。自鶏ふん草とり栽培3年目。
今年はトンボが羽化したり、ドジョウがなぜか居たりした。

日暮れ前に家の前に稲をかけて、残り軽トラ一杯分は、
先般、ホソダ選手とこしゃった村の入り口のはさにこれからかける。

ホソダ先生は連日連夜あちこちの家から引く手あまた。
土曜には最終報告会(&慰労会)がひかえ、ラストスパート。
俺が自分の稲刈りが始まって以降、ほとんどまともに会えてない農繁パラドックス。

 * * *

昨日の「隣りの空家」。
雁木が取り除かれてシャープになりました。

昔の井戸があるとは聞いていたけど、
床板を剥いだら、井戸水(地下水)を汲んだ影響で地面に穴があいて沈んでいた。
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残りあと16枚。
寝起きですでに満身創痍状態ですが、
俺はもう少し知のきしみと身体のきしみとを交互に繰り返さねばならない。
今日は新月。


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by 907011 | 2014-09-24 06:23 | Trackback | Comments(0)

セブンティーン。

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今日の「隣りの空家」。
職人兄弟が入り、床板がはがされ囲炉裏が出てきた。

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かつての土壁が崩され還る。
別の床下に井戸があるそうなので、水神様のお札をもらって封じられる。

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月ヨメ沢での稲刈りを今日から開始。
残りあと17枚。

写真は”もんじろ”の田のところにある温泉(下の白いかたまりは硫黄)。
容器で持ち帰りも可能。
何せひしゃくなら毎日使っている良いのがあります。
温泉付き分譲田んぼ。

今日はそのもんじろの上にある一番大きな「沼」に挑んでみます。
今日明日、2日間はかかろうか。
がんばろう我ら。

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by 907011 | 2014-09-23 08:10 | Trackback | Comments(0)

町。

今日のトウキチ豆。
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月ヨメ沢の一番奥の田んぼの畔豆に植えた山中在来種・藤吉豆の粒が良い具合になってきた。
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6:30、月ユメの田んぼでひしゃくを持ってルート営業的に田の水汲み出しをしていたら、
あっという間に雨雲が覆って真っ暗になり、今日もまた雨降るかと思ったら晴れた。
稲刈り日和。
まだまだ月ユメの田にはたどり着けず。
果たして、このへぎそば化した田んぼを刈るのは何日後か。

最後に手植えした田んぼはおそらく10月に手刈り、
はさがけして有終の美が飾られる予定。

田に門前払いを受ける機械と、人間の手(鎌)との邂逅。
「ハイブリッド稲刈り」、残すところまだあと一町歩・・・。


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by 907011 | 2014-09-22 13:09 | Trackback | Comments(0)

angel.

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昨日。
ウチの一つ上の”ごすけ”の稲刈りを請け負って、
山中のあちこち奥の方(「ディープ山中」と呼ばれる)に点在する田を巡った。
初めて行く場所もあり新鮮だった。
写真は「ミョウバツケ」の現場(左下に一枚田んぼが見えるでしょうか)。
みょうばつけの「ばつけ」は畑を意味している。
ごすけのバサいわく「みょうばつけの米が美味いとヒトが言うから捨てるに捨てられない」。

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”じぜもち”のオテさん。
インターン生ホソダ君が住まわせてもらっている家の隣人のカワイイばあさん。
一カ月間という短期受入れも暖かく見守ってくれており、
彼の玄関にそっと天ぷらなどのおかずを常時おすそ分けしてくれている様子。
たまに夜遊びで家に電気が点いてないと心配してくれていたり。
正式な屋号は「りざえもん家持」⇒「りぜもち」⇒「じぜもち」に変換。
家持は分家のことで、同じ意味の屋号で「しんたく」さんもある(新宅と書く?)。

もう一カ所の現場が”じぜもち”の根っこの田と呼ばれる場所で、
オテさんがちょうど大量のサツマイモを掘って運んでいた。
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田の横にお稲荷様がまつられていた。
「この間死んだヨネハチさんが上手にこしゃってくれた」。
米八さんは大工で、酒は飲まず、ただただ仕事ばかりしていた人だという。

お稲荷さんにはススキが供えられてあった。
硬いのがカヤで、柔らかく折れるのがススキ。

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「カヤの穂が赤いとその年は大雪になるって昔は言われたった」とオテさん。
今年はまた大雪の模様。

隣接する田んぼの話を聞く。
水がなくて除草剤まきたくてもまけず、一昨日まで一人で草取りをしていた。
親指と人差し指で輪をつくり、
「かっぱ(株)が小さくて、そんなにいくらもとれないけど」と話し、少し沈黙した後、
「それでも自分が食べる分をこしゃってられれば、安心できるすけな」と笑う。

 * * *

家人がその昔、山中の年寄りを指して「エンジェル」と呼んでいた。
自分は父母兄だけのいわゆる核家族で育ち、高校の下宿時代から一人暮らしだったので、
人一倍「年寄り」のことを言葉の響き以上に考察することがまったく無いまま30数歳まで経過していた。
別にそれ以上でもそれ以下でもなくて、意識する機会も少なかった。
そのリバウンドだったのか、天使たちに見立てられた山中の年寄りたちに
いつの間にか自分も魅了されていった。

「異常」があふれる現代社会の中で、
たとえば「呆け」と呼ばれる現象で脳に「異変」をきたすのは、
考えてみれば、むしろ「正常」化なのではないか、と以前そんな話も合わせて聞いた瞬間に、
天動説だと思っていたものが実は回っていたの地球だぜ、みたいなショックを受けた。

ボケってもしや世知辛すぎた苦労や過去の不安を忘れる力かもしれないし、
都合の良い言い方をすれば、人生をもう少しだけ生き続けるための脳の最終プログラムかも分からない。
異常な環境にあって、心身が示す「異常」は、
マイナスの色をした池に石を投げて波を起こすかのように、
「正常」であろうとするための”変態”とは言えないだろうか。
良いとか悪いとかでもなくて、仕方ない背景があっての展開と考えると、
むしろそれは潔いんじゃないかとすら考えるようになった。
天が近づく、迎えが近づくってそういうことも含まれるのか。

異常の内側で「異」を唱えて、生きようとする。
思えば、自分が子どもの頃のことや、昨今のニュース、
あるいは昨今においてもまだなお自分が抱える弱さについても、
異の異を当てはめてみると、なんとも腑に落ちる(利己的な解釈だけど)。

そして気付けば自分も山中に居て、毎日エンジェルどもに遭遇する。
自分はまだまだ他人に良く見られたいという選択肢の取り方ばかりだ。まだまだ。

今日は天気がええけん今日死なしちゃる

なんとのうにわかったわ
私らは残るもんで
あっちはどこぞに行くもんなんじゃね
(西原理恵子『パーマネント野ばら』)

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「みょうばつけ」の稲刈りの合間に綺麗な薄紫の花に引き寄せられ、匂いを嗅ごうとしてたら、
コンバイン上の義父から「ダメだよ~!」と叫ばれ、
間髪いれずに「それ、トリカブト~!」と教えられた。
教わった俺もすかさず脳裏に「保険金殺人」「沖縄のコテージ」などの映像が浮かんだ。

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しかし昨日もよく働いた。

”ごすけ”からお茶と一緒にもらったハッピーターンを
寝床で本を読みながら24個食いながら寝落ちした20:30。


子供のころじいちゃんが教えてくれた。
「人はなあ 二回死ぬで
 一回目は生きるのがやまってしまう時
 二回目は人に忘れられてしまう時や
 人の心の中におらんようになったらいよいよ最後なんや
 今度こそ本当に死ぬ
 二度と生きかえらん」


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by 907011 | 2014-09-21 04:36 | Trackback | Comments(0)