山中記

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分断。

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田植えにけりをつけよう!と言いつつも、
「雨降りになったらやります。」と先送りしてきた会計書類づくりを昨日した。
家だとすぐ違うことをしだしたり、新たな書類が刺客として攻めてくるので、公民館へこもる。
電話の用事も別途あれこれと重なり、終わると夕方だった。

公民館の机からは山中のメインストリートがのぞめる。
たまーに車が通ると、「お、ハザマ君今日も頑張っているねえ」と静かな監視員のように顔を上げる。

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月ユメ入口。
毎日の水見、
これがまたうまくいかないときは一カ所の一本の水がどうにもこうにも止まったまま出てくれなくて、
一時間かけて上ったり下りたりを繰り返した挙げ句、
一時間前と状況まったく変わらず途方に暮れるなんて日もある。あるある。

しかし、2時間と同じ仕事ができないような日々が
4月以降ほんとうに多く続いていて、なかなかに参った。
この二カ月間の私については、「分断」という言葉が実にしっくり当てはまる。
分断される時間や身体。

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冬にケモノに襲われて以来、家の使わぬ二階に避難させていた鶏たちの小屋づくり。
義父さんがだいぶ段取りしてくれ、
”とわち”の空いた小屋にあった材を掻き集めてこれもゆっくりと分断されながら進行中。
昨日は戸がついた。あと少し。

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夕方、会計の”まごすけ”に書類を出しに行く。
蛇に巣ごと襲われ一羽だけ保護されたスズメのヒナがいた。

終日かかってやっと出せた書類は実は4月のものだったりもする。
お湯をもらい、それを焼酎で分断したものを2杯いただき、
家庭から分断されぬように急ぎ戻り、桑の実を食べ尽くして帰宅。

他の集落では4,5月に行われる通常総会(予算・決算報告など)は未だ、
いつ開けるかも実はまったく決まっていない。
先代マサオさんは田植えが今ピークなのでその後までしばし保留。

6月はより滅多やたらと会議やら研修やらが続く。
他の区長たちは皆「1を聞けば10を知る」賢者のようにす~っと理解している物事が、
俺は自治の基礎どころか、年相応に備えているはずの一般常識を持ち合わせてないので、
ずいぶんと一つのことに時間がかかり過ぎてしまうし、無駄に消耗する。
(一般常識は思いの外欠如しているなあと最近周りを見て感心すると共に気付くようになった。)
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最後の代かき中。

棚田は一枚一枚が難しく、
それぞれの条件と天候を加味して、観察や仮説や判断が求められる。

たとえば平らにずらりと四角く並んで見通すこと、ができないので、
分断されていて、比較しないから良い。
そういう分断もある。

分断されるのは頭か、俺のこの舌か。
分断されてしまったのは心なのか、自分が出す言葉なのか、
どっちだろうかと考える朝仕事時間。

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by 907011 | 2015-06-10 08:34

最後は実験田。

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今年もなんだかんだで苗が育った。
ずんぐりしていて根っこも太くてだいぶ頼もし。

2012年から更新してきた種で、
化成肥料と農薬を入れない環境で継いできたので、
稲の本来持つ力というか、環境に少しずつ順応してきた育ちっぷりを、
今年も月ユメの木の陰から涙しながら観察していきたい。

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代かきしたら思いの外平らになった。
あと残ったのは苗を撮り終えた苗代分。

田植えしている間にも草がびっしりになったので、
現在豪華に水かけ流しにして万能グワで掻きまわし、草を浮かせて出し中。
ある程度草が流れてくれたら本田とを区切る手畔を砕き泥にする。
本田に遅れて合流する、最後の代かき。

2012年から始めた実験田は土が年々気持ち良い感触になり、
泥の匂いもどんどん水に近づいている。
今年からの最奥の実験田と併行して草取りして、
二枚のうちどっちかほぼ平らになれば、一枚を不耕起にしたい。

不耕起でトラクタも不要となれば、
資材ゼロ、手植えして、刈った後に藁やぬか、
くず米に一年世話になった鶏たちのフンを少し還すだけの「ゼロ田んぼ」ができる。
循環の見える化としてのゼロ田んぼ実験は年々、遅々としながら続いてゆく。

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途中苗余るんじゃないかと思い、気持ちが大きくなって、
小さいのは二本植えしてたらやっぱり苗は全然足りなくて、
植え終えてから、また間引きに回る(泣きついて金策に走るヒトみたいだった)。

最後の代かきをこれから。


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by 907011 | 2015-06-10 04:45

田植え、あと少し。

水苗代にびっしりに見えた苗はやっぱり微妙に足りず、
志半ばで苗尽きたところにハザマ団子名人が登場し、
恥ずかしいところを撮られてしまった。

「原付ですごく暑い日にどっか遠くまで行きたいねえ」
などと話しながら一緒に村へと戻り、
「どうしようかなあ」と煩悶しながら桑の実を食んでから帰宅。

ともかく9割の進捗。
残りは今朝からぐいぐいっと強引に軌道修正して、
よりいっそうの実験田んぼとなりそう。
これが終われば一つの節目を迎えられる、はず。
今日もなんだか慌ただしい。
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by 907011 | 2015-06-08 08:17 | Trackback | Comments(0)

4+8+7+7+8+1+1+4+1=。

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4時過ぎの先納沢は白のなかに在った。

イサオさんにヘルプを頼まれ喜び勇んで行ったものの、
肝心なところで俺が田植え機のハンドル加減を誤り、
イサオさん八方塞がりの田植えにトドメを刺す。
逆・助っ人。
交錯する失意。

「あぁ」「うぅ」と落胆し、
桑の枝に左手でどうにかつかまり、悶絶しながら実を食むAM7:00。

自分の七転八倒田植えも月ユメ沢の一番奥の田へ。
やっと雪も消えた。
逆助っ人をしでかした後、枠を少し転がす。
一尺真四角でかなり広い間隔。

「たぶんこんな感じ」というイメージ優先の昔の水苗代直播苗を
おそらく一本ずつ、失意とともに田んぼへ挿す。
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by 907011 | 2015-06-07 08:10

余花。

夕方。
田から上がってバタリの下にバイクを置けば、
目の前に古屋敷の桑の木が一本生えている。

桑の実が色付いて以降、まっすぐ家に帰らず、
枝をぐいっと持ち曲げて、ありったけの実をむさぼりかじってから帰る19時前。
先週からずっと指先がどす黒い。

一番近い枝なら背伸びして顔を上げ、口を開けて直にかじってみる。
枝一本を下げながら一粒ずつかじっている光景は
おそらく熊のようだと我が事ながら思う。
桑いちごは樹の下でつまむのがもっともうまい。
枝豆やトウキビを採ってすぐ茹でるみたいな話だ、とも思う。

逆の例でいえば、
ある日、身体に突発的に不調が起こって、医者まで駆け込んだのに、
いざ医者を前にして椅子に座ったら、本来(?)の不調が出てきてくれない、みたいな話だとも思った。
(「センセイ、違うんです。さっきまでたしかに変だったんです。調子が悪いんです。
 いや、調子が悪くなくなっただけであって、さっきはちゃんと変だったんです」
 と支離滅裂な言い訳をしたくなる)

そんなことを思い浮かべつつ、黙々と食う。
黒く甘い実よりも、赤黒い酸味と甘みの混じっている方が魅かれる。
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また黙々とかじり、ふと思う。
俺の前世、蚕か何かだったんではなかろうかと。
(これが寒くなってくれば、ポン酢が好き過ぎて、
前世、味ポンの蓋か何かだったんではなかろうかと思う。)

 * * *

6月。
田の畔と中で蛇に出会う数が徐々に増えてきた。
あと、田植えと田の草取りが少しと、
今週から秋まで田の草刈りがどーんと秋まで続く。

いつ田植えしようか、無農薬田の水を最高位に張って草取りに入らねばとぐるぐる水見。
最近、畦で会う蛇が逃げようとしない。
いったん田の中にちゃぽんと入るものの、
なぜか思い出したようにニンゲンの顔を見ながら舌を出しながら
進路をぐいっと曲げ、見事な高速で足元に向かってくる。
蛇が何より苦手な身にはこの衝撃はたまらない。

「蛇のやつが逃げてくれない」と嘆きながら、
今夕もワタシは熊のようになって桑の実をむさぼる。

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by 907011 | 2015-06-05 04:56