山中記

浮揚。

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風の冷たい陽気がつづいていて、稲がなかなか太らない。

「えんま市が終わるまでは田植え」と念仏のように唱えながら、
水見の合間に植え直しで田に入っていた。
昨日は昨日で飽くことなく、
「えんま市の人もおそらくまだ片付けや精算をしているだろうから。」と
利己的推察をして、植えていた。

太らないといえば、
日~月曜日の24時間で2.5kg痩せていた。
単純計算で2日で5㎏、
我が子よ、あと3週間くらいするとお父さんは宙に浮いているかもしれないです。
(これから一週間くらい飲み食いが続くので、おおいに太ってくるけど。)

昨日から田の草取り2巡目。
草取りはまったくの夢中になれる時間だが、
今日の会議と明日からしばしの親孝行で中断。
朝から待望の雨粒が落ちてきた。





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# by 907011 | 2017-06-21 04:09 | Trackback | Comments(0)

Professional farmers。

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花の金曜夜。
高柳町自立経営農業者会議の総会、滞りなく無事に終了。

一年前から事務局機能をなんとか「自立」させるという宿題をちょうだいし、
町事務所から徐々に自前でできるようにと進めつつ、
がしかし肝心なところで相変わらず半自立だったり非自立となって、
よろず相談事を持ち込まれてしまう”よろずのOさん”にいまだ頼りがち。

ともかくも総会後。速やかに入念な情報交換会へ移行し、
新規会員矢代コータ君挨拶の図。
「出身は東京農業大です。」という一言に、
一同全員が「おぉー!」と低く唸った。

この日もOさんはよろずごとの残業をしており、
会員皆の希望で少しだけ情報交換に出てもらった。
コータの後ろに高柳のゆる(?)キャラ”こーたん”が居た。

農協のタダラ支店長もオブザーバー参加してくれて、
姫の井2升と肴をちょうだいする。
支店長は「グルグルハウス高柳」の朝食付き岡野町宿泊プラン3000円で
しっかりと飲んでいた。
(俺が途中でコーラが無性に飲みたくなって誰ぞのコップを借りて飲んでたら、
 おい何飲んでいるんだよと突っ込まれ、酒をたっぷり注がれた。)
なぜか2升の酒瓶がほとんど同時に開栓され、だいぶ深く酔った。

 * * *

薄曇りの土曜。
このあたりでは「えんま市が終わるまでに田植えが終れば良い。」という言い方を聞く。
金曜夜でえんま市はおそらく終わったと思われるものの、
「片付けもえんま市のうちだ。まだ片付けているであろう」と踏んで、
土曜の朝仕事に植え直しを粘ったが、あまりはかどらず。
朝食を食べた後、二日酔いが攻めてきて昼までダウン。
草刈り後、夕方から姫の井の酒の館にて古浄瑠璃を見にゆく。
大入りだった。

新潟市や長岡で仕事していた際には、
りゅーとぴあなどに足しげく通って、
演劇やコンサート、落語や能など節操無くいろんなジャンルの舞台を見て暮らしていた。
佐渡に薪能を見にいったりもした。
いまはせいぜい落語をイヤホンで耳に挿して植え直しをするくらいになった。
浄瑠璃もたぶん10年以上ぶりくらいに見た。
よく同僚には指摘されたものだけど、
あらためて我ながら趣味嗜好がおじいちゃんみたいだったのだなと気付かされる。



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昨日日曜。
朝5時にイサオさん家を出て、石黒へ草刈りにゆく。
2時間ほど篤農家たちに内包されながら心地良く汗を流す。

「はじめに体力ありき」だなと思った。
石黒のこの人たちはまず身体、個々の動線がある。
体力でもって、「具体」を先ずする。
それから個々の動線が寄り、集う。
具体の後に、その身体を通った飾り気のない言葉が出されるように感じる。

イサオさんがいつも話すように、
しびれるような「格好いい男」たちなのだ。
60~70を過ぎてから醸し出される滋養が抽出されてくるような、
かっこいい人。かっこいい男。かっこいい農家。

そんなイサオさんも、
「あのー、こんなこと今さら聞いたら怒られるかもしれないんですけど・・・」と
謙虚な枕言葉で矢継早に質問をする様子が、尊敬にあふれていて素晴らしく思った。



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<昇太
いまの時代は
だいたい音源を取らせてくれるので、
それを聞いて覚えることが多いのですが、
本当に落語を教わるには、
昔の「三遍稽古」という稽古の仕方が、
ベストだったと思うんです。
糸井
ほぉー。
昇太
なぜかと言うと、音源を聞いて覚えると
完全にコピーになっちゃうんですよ。
息継ぎのタイミングまで同じになっちゃうから。
糸井
ああそうか。
それはダメですね。
昇太
そうなんです。
落語は、自分の言葉でしゃべった方がいいんです。
だから「三遍稽古」で、
なんとなく覚えるというほうがいい。
誰かが作ったものを、
他人が全く同じようにコピーしても、
おもしろくないんですよね。
実際にモノマネ芸をやってる人も、
完全コピーの人って、いないじゃないですか。
やっぱりデフォルメしているからおもしろいわけで。>







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# by 907011 | 2017-06-19 04:59 | Trackback | Comments(0)

会議のあとに残るもの。

雅楽のリズムの名称のひとつに
「八多羅拍子(やたらびょうし)」というものがあるそうだ。


<雅楽は二拍子や四拍子で奏でられますが、
 八多羅拍子は特殊で二拍子と三拍子が繰り返して演奏されるリズムです。
 さらに、演奏速度も速く、普通の人にはそのリズムがとりにくく、
 無秩序に演奏しているように見えるようです。

 その演奏がわけもわからず混乱したとき、
 「やたら拍子のように」という意味から使い始めたとされています。
(検索で出てきた『雑学unun』から)>

 * * *

「この町はやたらめったら会議が多い」と感じる6月のまだ半ば。
会議一回で作業している手は、それがなかった場合と比べれば
短くても3時間停まってしまうのが口惜しい。
あと早寝が過ぎる(下記のとおり)自分にとっては、
夜の会議が単純に睡眠時間を削っていくのでできるだけ出ないよう努めている。

山中移住のさきがけである、
もう一人の伊藤家のマサノリさんなどは、
「ほんっとうに、みんな会議好きだよねえ。」と半ばあきれながら笑って言う。
マサノリさんの優先順位は明確かつ確固たるものでぶれないので、
今日から山に登ってしばしこもるとの話だ。

12日。
東京の小学校がじょんのびキャンプ(?)と称してやって来るのに関連して、
農家が各戸数人ずつを受け入れる農業体験(かつては農泊)の会議へ。
我が家も子どもが生まれてしばらく休んでいたので諸事情はよくわからないけど、
今年からやりまっせーと受入れ復活してのぞんだものの、
すでに受入れ農家は4軒まで激減しており、結論としては農家個々の体験はやめて、
門出集落で米文化に絞ったもので一括して体験受け入れをするということになった。

門出和紙のレジェンド・ヤスオさんの企画なのでまず間違いないと思うけど、
残念ながらうちからはけっこう遠いし、
子どもらにヒエ取り体験させようかなどと予定していた忙しい時期なので、
我らの農家受入れ体験は終了したなあと感じると寂しい気もした。

塩沢公民館に移動してJA柏崎の中干し講習会に寄る。
(山中公民館も参加農家が激減し過ぎてなくなり、塩沢に寄せてもらっている)
卓球台であれこれキタハラ先生の話を聞いて解散。
仙田に行き、苗代16万円を納める。
サヨウナラ、飲み屋40回。

午後から草刈り、こしいぶきの落水、肥やしまき。
シャワーにも入れずに寝落ち。

13日火曜。

未明にシャワー。
寒い陽気が続いて、コシヒカリ稲がよく太っていない。
草刈りして振り返ったら、
「沢っこで一人で騒いでたらクマが来るぞ。」とタモツさんが来た。
植え付けしなかった田んぼ2枚を見に行き、現場打ち合わせ。
俺が帰飯したり草を刈ったり泥を上げたり、
健康診断に行って「肝臓が・・・ね。」と指摘されたりしている間に、
タモさんがおおよそ7時間くらいで
田直し2枚と乗り入れ4カ所をやってくれた。
さすが重機職人、仕事がはやい。

一服時にブラックコーヒーを選ぶタモさん、
「なー、いっときそこでそのまま缶持ってろ。オラがフタ開けるすけ。」と、
やおら重機に戻って乗り、エンジンをふかし、
ユンボのバケツの爪で缶コーヒーのプルタブを開けそうなレベルで、
あの職人らは掌で撫でるかのように重機を使う。

日没前に重機をザリガニ池まで歩かせ、子と風呂に入り寝た。

14日水曜。
重機代を精算。
自分の名前で自分に請求書を書いたり、ハンコをついたり、支払いをしたり、入金をしたり、
金融窓口でやっていること自体はかなり怪しいけど、負担者兼会計だからしかたない。
職人にも金払いを早急に済ませて、残った重機を洗う。
またまたサヨウナラ、飲み屋13回分。

昼から来客で昼寝レス。
「なんで13時なんだよー。早いよなあ。」とぼやいて待っていたら、
13時半待ちあわせの勘違いだった。
振り上げた拳の下ろし所レス。

肥やしをまいて草を刈り、
この晩は酒を飲んではいけない夜(胃がん健診のため)だったので、
ノンアルビールをおかわりして飲んでがつがつ食っていたら寝ていた。
2時に目覚めてシャワーを浴びる。寒い。

翌朝木曜。
朝飯抜きで水分も5時以降とってはいけないという鬼の胃がん健診(?)につき、
夜明けダッシュの草刈りは中止して、よく寝た後、
朝飯(ないけど)前に自家採種こんにゃくを植えるなどして時間をつぶす。
胃がん健診で初めてバリウムを飲む体験。
バリウムよりも胃を膨らます薬がおかわりしたいくらい好みのラムネ味だった。
検査にたどりつくまでに2時間待ちつくし、ようやく解放。
これも人生初かもしれない下剤を飲む一方で畑の草刈り。
振り向くと”まごすけ”さんが背後に居て、「ケンタッキー」をいただく。
夢中になった後、振り向くとわりと誰かしら居るものだ。
ケモノでないことが救い。

午後、大腸がん検診に検便を持参する道中、
山に登るトレーニングとしてすでに2,3回山に登って来たというマサノリさんとすれ違う。
「明日にでも脳ドックを受けてくるように。」といわれる。

夜、禁酒令から解放され、矢継早に酒を飲む。
脳ドックの話を家人にしたら、
「生活習慣を変える覚悟はおありか?
 タバコは?酒は?
 しょっぱいものを食べないようになる気はおありか?
 しょうゆをやたら拍子のようにつけすぎたり、
 枝豆にさらに塩をかけ直して食べたりする東北人の慣習を捨てる気はおありか?」
と質される。
ひとまず酒の継続だけ保留ということでやたら拍子は鳴り止まない。
が、すぐ眠くなり、また風呂入れずに寝落ちした。

本日の会議2つ。
夜は「情報交換会」で篤農家たちと酒を交わすので、
「しかたないなあ、まったく。」といいながら小走りでのぞむ。

 * * *


<ぼくが経験したことで言いますと、
その意味での「楽しさ」というものは、きっと、
苦しさを抜けていないと掴めないんだと思います。
「板一枚の下が、もう深海だ」とでもいうような意識を経た後に、
最高の楽しさがやってくるような……。
ものごとに一面があるとしたら、表と裏の両方の知識と経験を操縦できる自分になりたいと思っています。
清潔な部分を欲しがるならば、廃棄するものも、
同じくらいのパワーで処理する必要がありますからね。
(『調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)』から)>





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# by 907011 | 2017-06-16 04:34 | Trackback | Comments(0)