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山中記

地域資源とは何か。

「地域資源」というものが
自分にはわかっているようでいて
今ひとつわかっていない。

地域で会議をすれば必ず出てくるキーワードではないだろうか。
地域資源という4文字の概念、
大きな円のような大枠としてはわかるのだけど、
具体的に例示をしようとすると
案外と数個しか出てこず、言葉に詰まる。

おそらく、今思うに
地域にあるもののなかで
「これは商品化されて収入につながるだろう」と考えるから
一つ二つで止まってしまう。
山にびっしり生えている野草は
そのほとんどが薬草の効果を自ずから持っている、
とかその程度しかひねり出せない。

がしかし、
そもそも考えるだけで商品化に直結するわけなどなくて、
自分が考える種として挙げられる地域資源とは
おおまかに言えばそんなことより一つ手前で好い。
とりあえず、今日に至るまで保全されているもの、
野にあるもの、木や草、
土から生まれるものたちがそうだし、農地そのものだってそうだ。
語り部や生存技術を手に持つ人たちも地域の資源だ。
今あるもののほとんどは資源であるかもしれない。

関原さんのプラグマティズムな講演会を2日後にひかえながら、
今一度学んで考えてみたくなったので、今日は六日町へゆく。

津南町周辺の文化、語り部たちもおもしろいですねえ。





考えるべき宿題を前にしたとき、
「むむっ」と構えるよりも、
首肩足首をぐるぐると回して柔らかく解きほぐしていく方が、
どうせ考えるならそっちの方が、
小さなユーモアを含みながら考えることができそうで好いですね。





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# by 907011 | 2024-03-15 06:47 | Trackback

縮小説。

金沢で行われた中山間地×ICTフォーラムというのを聴講して、
「無住集落」という用語を初めて知った。

「ICT」には興味関心が薄かったものの、
そうは言っても科学技術は日進月歩で進んで歩んでいるようなので、
無関心をうたうならばなおさら、
自分はただ無知のままではよろしくないだろうと事例報告などを聞いた。
ICTの現状としては、田んぼの水位や、
箱罠のシャッターの開閉(外的要因で罠が反応して閉まる→スマホに知らせる)、
という話だったので、特に新規の情報は無かったように感じた。

「原点回帰米」という米をたまに目にしていたが、
小国の横沢農場のナカジョウさんの話が
現代人的感覚、本音いっぱいで臨場感が湧いた。

そして、第一部の講演をされた金沢大学・林先生の
「無住集落」の話がおもしろくてぐいぐい引き込まれ、
聴講して良かったなあと思うものだった。

何事においても、
数年後5年後10年後をイメージしての議論が多いなかで、
より遠く、わかんないくらいはるか遠くの、
「30年くらい先という非常に長い時間スケールでものを考えてみましょう」
という話だった。

実際に石川県内でこの20年間で廃村になった集落を
いくつか写真やその後の状況とともに例示された。
ただし、そのなかには農地があって人が通って小さく耕作をしていたり、
無住集落だけど1軒だけパン屋さんが営まれているところなどもある。
無住集落だけど牧草地、
無住集落だけどキャンプ場になった村もあった。
(もちろんそれらはほんの一部であって、
 多くの無住集落は「廃村」となり荒れて野に返っているものが多い。)

林先生のテーマの一つが、
「将来的な再興を意識した”前向きな縮小”」というものだった。
集落が活性化されるに越したことはないのだけれど、
それは容易なことではなくて、人はいなくなってしまう。
でも、たとえば地縁者たちによって
農地(住居も一軒は?)が最低限保全されていれば、
その土地には農地としての価値が残り、
今後30年先のあいだに、気候や国際情勢(食料流通)の変動によって
必要とする可能性が出てくるかもしれない。
国政からも住みにくさ、生きづらさが派生しており、
回帰志向の若者は出るべくして出てきているように映る。

たとえば、一つの無住集落のことを知る人が100人いるとする。
100人のなかから10人くらいのファンと出会うための努力をして、
10人の村を好きになって通ってみる人たちのなかから
1人くらい暮らし始める人が出てくるのではないだろうか。
30年という長いスパンで考えればそんな再興はあり得るだろう。
そして、結局のところ机上で協議を重ねようが、
「それは誰がわかろうか。誰にもわからない」というお話しでふりだしに戻る。
無住集落に通って保全活動ができるのは、
せいぜいがそこで育った記憶を持つ現世代までで、
その子どもたち世代には、それはできないだろうというリミットを迎えてもいる。

小さくなっていくことが悪いのではない。
どうやって小さくなっていくかをデザインする努力が問われている。




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戦後右肩上がりの日本から
現在の何でも右肩総下がりの日本に状況が変わり、
「縮小」にも良い縮小があるかもしれないというような話でした。




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能登地震で、過疎集落をこの際全部集団移転すれば良い論が
ネットニュースなどで出ていました。
北陸3県を対象にした試算で
10人未満の農業集落というもののインフラ、行政サービスを全部停止したところで、
削減される歳出というのは全体の2%に過ぎないそうです。






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# by 907011 | 2024-03-13 16:51 | Trackback