山中記

みどりの日。

未明の3時からネコはやたらと威勢が良い。
俺は木かなんかだと思われているのか、やたらとひっかかれる。
爪を研いだり、背中脇腹から上ったりジャンプして下りたりされる。
(いままさに繰り返されている。)
名前はまだない。

薪ストーブを燃やすとそっちに行って横たわって寝るので、
起床と同時にとりあえず着火。
未明から徐々に5~6時にかけて肌寒くなってくるように感じる。
まだ寒い。
そして田の雪はまだまだ溶けない。

昨朝。
「極早生」と書かれた枝豆の袋2つを手にしたまま固まり、思案。
しばし迷った末に、「あと数日だけ待ってくれ。」と
借金取りに追われるかのような表情で事情を話し、田へゆく。

「日本の寒がり百選」があれば(ないけど)間違いなく選抜されるであろうほどに、
なぜか寒さに弱い東北人のワタシなので、上着を1枚ずつ多く着込んで
5時から田を打ち始める。
朝仕事で一枚終えられた。

迷ったものの、やると調子が出る。
そのまま昼までやり続けるか、朝食をとるかまたしばし迷った末に帰飯。
ここでもまた迷っていたわりには、飯をがつがついっぱい食べる。
四季を通じて、自分の選択などまったく「迷ったわりには結局そっちかよ。」などという
「迷ったわりには」反対側の選択肢でも意外におさまっていたというパターンが多い。
抽象か、具体か、それが問題だ。

あと、自分はこれまで、
稀に飲食店で注文したのと違うものが運ばれて出てきても、
それはそれでおいしく食べる、という場面が何度かあって、
人といると「それ、食べたらダメしょ。言わないと。」と指摘されるが、
小心者なので言うよりも、穏便に食べることでなにがしかの手助けになれば、
間違えた店員も、自分も、嬉しいのではなかろうか・・・、
と思ってやってきたけど、間違えられた客の中には怒る人もいるんだろうな。
間違えて運んだ方を叱るか、違うのにおいしく食べた方を叱るか、それも問題だ。

  * * *

今日、山中出の人が連休で帰って来て、
28年産米の残り半分6袋を持っていくというので、
岡野町のヨシトモさんの保冷庫の空きに保管してもらっていたのを取りに行く。
ヨシトモ先生はいつも会うたびに自分の農作業の進捗状況を
聞いてよというでもなく、大きな独り言であるかのように言う。
「あ~疲れた。いま6反部代かきしてきた。いま6反代かきしてきたよ。あ~疲れた。」
と昨昼も大きくかつ独り言であるかのように二回繰り返していた。
農繫期になると細かな数字も大きな独り言に含まれる。
孤高か、孤立か、それが問題だ。

20代の頃に石川直樹さんの本のなかの言葉で素敵だなあと感心したのが、
「明日死ぬかのように生きろ。永遠に生きるかのように学べ。」
という一節だった。

「ものごとは独り言をいうくらいのように伝えろ。永世に伝えるかのように耕せ。」
とヨシトモさんは伝えているのかもしれない。
が、もしかすると伝えていないかもしれない。

「そうやってヨシトモさんみたいに嬉しそうに報告しているうちは
 それは楽しみでもあるから、良いことかもしれないなあ。」
と田んぼで会ったイサオさんがくわえ煙草で上手に総括してくれた。

みどりの里・山中のみどりの日。
耕せ、山中。




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# by 907011 | 2017-05-04 04:28 | Trackback | Comments(0)

忘れ霜。

昨朝。
6時集合、オクサ水利組合の水揚げ試運転。
囲いを外してポンプ始動。
が、途中停止してしばらく農器具全般の医者である春日農機の解説を聞く。
が、電気盤の中身のなんたらかんたらいう説明が
集った我ら3人、まったく理解できず。
4分くらい話しを聞いた後、元江戸っ子の生産組合長シゲルさんが、
「・・・ま~その、すぐには理解できねえけどよ。
 ま~要は、動いたっつうことだな。」
と上手にその場を総括してくれた。

農協でお金をおろして区内の3団体に助成金を配った後、月ヨメ沢に入る。
水利組合長であるところの義父さまがすでに来て、雪を割ってくれていた。
半袖一丁、屈強。
b0079965_05065673.jpg
雪はまだとけず、予定通りコシイブキ田をスキップして
下のコシヒカリ田を打ち始める。
肥やしをまいたり、水をとったり、枝と杉っ葉を拾ったりして数時間経過。

俯瞰して撮影して高速再生しても
あまり進展ないかのように一見写るかもしれないが、
まあ要は動いてたっつうことだな。

続きを始めよう。
数時間トラクターの右後方を凝視しながら運転していたせいか、
首の右側がひじょうに痛い。
我らの米はこうしてつくられる。




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# by 907011 | 2017-05-03 05:26 | Trackback | Comments(0)

サツキ。

雨の昨日。
極早生の枝豆をまきたかったが延期。

4月分の会計を〆る。
30万円歳入、11万円歳出となった。
5月は農繫期につき上納もなくマイナスになる。
6月は上納あるけど、行事や農業系の支出で同じくマイナス。
8月は(上半期の精算)で、
1~2月も暮割(下半期の精算)で歳出が大幅に増える峠。

小さくなりながらも持続可能な画を模索する。
小ささを続けることが賢さでもあるなあなどとこの頃に思っては、
あちこちの頑張っている事例を見ては感心して、低く唸る。
財政も大変だろうけどここは数値の世界でもあるので、
ある程度話は明瞭だ。

むしろ困難なのは人の手が減っていくことに、
どのように応対していくかだと思う。
一人の持つ力の大きさを年々実感するようになってきた。
一人の存在は大きい。

農協に行った足で中山間直接支払いで所有されている重機を見にいく。
総合センターに行ったら
ちょうど岡野町の田んぼの団地耕作者が堰払いの一服中だったので、
重機を眺めながら相談をする。
自分の田直し練習には幅が広くて、大き過ぎるかなという結論に至る。
山中の小さなバックホーで夏に練習する予定をたて、
コシイブキの田2枚を植えずに保全管理とする。
雪で足踏み状態の田こしゃいが2枚スキップできて良い。
田の排水問題が無事改善できれば、
来春からはコシヒカリに作付けを戻す予定。
奥からどんどん下って来て、沢ごともういっぺんコシヒカリのみにすれば、
田こしゃいと田植えの順番を組み替えて、
雪消えの良い圃場から順々にこなすことができるという数年計画。
予定は未定。

b0079965_04583633.jpg

午後、ホーム・月ヨメ沢へゆく。
それでもトラクタに乗って続きをする。
だいぶ時間を要したものの、一枚だけ休耕田が復旧できた。
あとは雪壁がふさぎ、2枚は入れないので飛ばして、上の田を打つ。
「打つ」と打つと、「鬱」と変換されがちなワタシのパソコンもだいぶお疲れの様子。

雪融け水が走り落ちる小さな滝の前で小用に立つ。
滝を眺めて用事に立っていると、
我が小さな用の小ささを知って滑稽な心持ちになる。
滑稽かつ爽快。

18時過ぎに帰宅。
本日もよく働いたのでウドを食いビール等を飲んで
やはり子よりもだいぶ早くに寝た。

世界で毎年、25くらいの言葉が「死んで」いる。
『言葉が世界を彩っている。』が面白かった。
言語は世界を認識するための道具であり、気持ちを伝えるためにある。






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# by 907011 | 2017-05-02 05:29 | Trackback | Comments(0)