山中記

最硬。

昨春、「カンベンしてください。」と言って固辞させてもらっていた、
夜の会議を含む役がふたたびまわってきた。
”休むもんは休む”、と主張したいがためのトレーニング的位置づけでのぞみたい。

ここ数年いろんな会議に出させてもらった中で、
「はっ!」と気付いてしまったのだけど、
俺は致命的に会議が苦手だ。
特に夜は子よりも早く20時とかに自動的に寝てたりするので
脳みそがただただ睡眠のための稼働しかしていない。

それと、これもおそらく致命的(むしろ病的に)なんだろうなあと
気付いてしまったわけですが、
山中というところが超ピンポイントで気に入って移住したため(かどうか)、
お世話になりつつ暮らしてはいるものの、
「柏崎市民」とか「高柳町民」という意識がきわめて薄い。意識低い系。
日常でほとんど意識せずに暮しているのだと思われる。

だからなのかどうなのか、どうも
「町域レベルでここは何か一つ」みたいな話に
脳がピクリとも反応せず、食いつかない。広域不感症。
「柏崎」という言葉には、
なおさらノーリアクションのままになってしまっていて、
天気予報で隣の地区を見ているような気でいる
(実際「十日町」の天気予報が当てはまっているし…)。
気を付けよう。


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昨朝。大根の種をまく。
山中のタモさんことタモツさんが
”オクサ”で一人、田こしゃいを始めていた。
あわてて自分もホーム・月ヨメ沢にトラクタを移動。
が、厚い雪にはばまれ、始動できず。

田んぼに入って雪割りをするもうすぐ5月。
ドライアイスみたいな「固体⇒気体」の昇華冷気を浴びながら(寒い)やるが、
どうにも雪が山の上から凝縮されて落ちて圧縮されている塊なので、
スコップがぐにゃっと曲がりそうなほどに刃が立たない。
義父・ミチヒロさまが午後から現れ、
倒木や枝や杉っ葉をかき集めて魔術師なみにあちこちで灰に変換していた。
見たことないけど、魔術師。
我以外皆屈強。
手はずはだいたい整った。でも雪壁は溶けない。雪壁、最硬。

夜。
秋田から届いた「親の愛」をむさぼり食って酒を飲み、
やはりそのまま長座布団で寝落ち。
やはりまたも起こされ、ベタベタするので仕方ない表情になって風呂に入り、
やはり、子よりも圧倒的に早く寝た。






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# by 907011 | 2017-05-01 04:53 | Trackback | Comments(0)

春霖。

28日7時、上納。
4月分の区費徴収に集まる朝。
昨年全員の区費を一律下げ、
今年度も死去などに伴い2万くらい下げたので、
歳入は2年で40万円減額してスタート。

金融に預けた後、朽ちた消火栓のポンプを回収・格納。
トラクタのグリスアップを経て、
田打ちはじめ。

”オクサ”の2枚だけ水が溜まらずにたまらない田んぼに入って
しばらく代かきし、ひび割れているだろう下の層に泥を詰めて、
水をとる。
育苗中の苗を使って最後に田植えしたい予定なので、
おおよそ1ヶ月間、耐えてもらうことになる。

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29日朝、たまらん田にふたたび入って、もう一回泥を詰める。
たまるか。
「なおきさんの田が泥になっていた。」と
イサオさんが腰をさすりながら巡視報告にやってきた。
この時期の我ら耕作者は「先走り過ぎ注意」や「頑張り過ぎ注意」と言いながら、
先駆け過ぎそうな者に対しては、
もっとゆっくりしようよ、まあまあ休んで一服しようよ、と釘を刺し合う。
離農者も年々出るが、山の田んぼは集約化は難しいし、
それぞれのブロックに複数人の耕作者が居て多様化している方が良い面もある。
一人でやっていると心身を休める一服のタイミングも下手になるばかりだ。

雨で草も勢いよく伸び、
家人が”こうすんず(強清水)”のつくりぜんまいを見にいくというので
休みがてら林の中を歩く。
沢の反対側の崖のはるか上にいいぜんまいがあるが、
崖すぎて登れず届かず。
「崖が過ぎるぞ。」と言ってあきらめる。

田からあがったトラクタの泥落としがてら畑を2枚耕す。
『故・石塚亀吉3年日誌』によれば、
「耕」という字を書いて、昔の人は「たがえす」と読んだそうだ。
土の天地返しこそが耕すこと。味噌づくりを思い出す。

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藤のツルが蛇のように巻き付き、しめ殺されて木は枯れ倒れる。
花の時期こそ綺麗だが、そこら中、ふじっつる最強説がはびこっている。

畑をもう1枚打って帰飯。
家人の友だちが年賀状の住所とそこにあった写真を頼りに、
山中まで遊びに来てくれて、鶏と池の生き物たちと遊んでいた。
「夢物語(昔話?うろ覚え)みたいなところだ。」と
友だちはあたりを眺めては褒めていた。
じつは家の中は子や子猫などで足の踏み場もなくなりがちで、
玄関や部屋はそこに暮らす者の脳内をつくづく反映しているのだなと考えさせられる。

鶏がよく遊んでいたので外でござを広げて昼飯を食う。
30分くらい昼寝して午後、月ヨメ沢の田に入ってゴミさらい。
田の雪がまだとけない。
1日に代かきを終えて8日からコシイブキ植えをと思っていたけど、
後ずさりの構え。
去年の春が早過ぎただけなので、
今春は今春なりに植えるしかない模様。
雷雨に打たれ、撤収。
雨でまた草木、よく伸びる。

ウドとタケノコとニシンを肴に早々とビールと酒を飲む。
寝落ちかけて、昨夜もかろうじてぎりぎり風呂につかって寝た。


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# by 907011 | 2017-04-30 05:25 | Trackback | Comments(0)

無計画良品。

昨朝。
冬に散々頭をいじめるからかどうか、
一年を通じてどうも眠りが浅い。
夜中に目覚めて、しばらくイヤホンを耳に挿して
吉本隆明さんの「都市論としての福岡」を聞く。

仕方なく起きだして29年産米の計画を練る。
今頃。本来は残雪のうちにやらねばならなかっただろう。
計画はまだ定まらず、
しかしコシヒカリは収量を0.5俵(一反あたり30㎏一袋)上げられれば
おおよそご注文いただいた量になる模様。
上がるか?
否、上げまいか。

不足すれば年貢米分を少し山中の米を買うことになる。
すべてはこれから。
「自分を頼ってくれた注文に対して、
 自分の米が少し足りなそうであっても、断ったらダメだぞ。
 たとえ勘定で損してでもちゃんと応じること。」
と先輩農業者に教わった話を思い出す。

朝食後、子の出勤を見送り、
朝食中のグルグルハウスさんでお茶を飲む。
デザイナー・F前さんが来られていて、
高柳サテライトオフィスに岡野町の空家を買ったと爽やかに話していた。
買って、山中の空家。次は山中のサテライトオフィスも是非。

ミツタカさんに米の紙袋の印字された版について立ち話に寄る。
印刷された袋をオーダーするのは簡単だけど、
最小ロットが500袋からと聞いて、あきらめる。
自分は今春、2町歩農家となったものの、500袋だと半分にも満たない。
農協の丈夫な袋と市販のを組み合わせて、なるべくロスの出ないように
細かな経費を考えると、計画も大事なのだなと、無計画を反省する一方で、
「無計画良品。」と無印のロゴを真似るイメージをしながら帰路。

”先納沢”の田に寄って、水をとって帰宅。
自分らがいま住んでいる”とわち”から市内に出たツネさんが
小さなラジカセで大きく音楽をかけながら何かしていた。春。

苗づくりの匠・マサオさんの田んぼに通っていたら、
田んぼの脇に植えたアスパラに妙に魅かれて、
市販のアスパラ株をさっそく畑の隅に埋めた。
”ごすけ”のハルキさんが畔塗をしてきたと腰をだいぶさすりながら現れ、
親類のバサの田の心配事などを少し話す。
ハルキさんの腰が心配。
他人の心配をしているうちに
いつの間にか自分の方がどっかガタが出る、という毎年のあるある。
我以外皆屈強。

20分くらい昼寝をとって寝不足を補う。
月ヨメ沢の奥に行って、田んぼに入った杉っ葉や倒木や石を片付ける。
まだまだ雪が田に積っている状態であさってあたりから、
コシイブキ分の田打ちを始めたいが、雪はどいてくれるかどうか。

「その土地や自然が、その人を許すかどうか。」
という内山節さんの話を思い出す。

一輪車のタイヤを交換して夜。
ホタルイカをつまみながら姫ノ井を飲んでいたと思いきや、
そのまま長座布団に寝落ちする。
かろうじて風呂に入り久々に子を洗ったりしながら正しく寝る。

変な夢ばかり見ながらだいぶ良く寝て起きたら、
玄関でトイレトレーニング中の子猫が鳴く。
ウグイスもよく鳴き、うちの雄鶏ツユも共鳴相手がいて嬉しそうに雄叫ぶ。
猫の隙間を開けると即、つめを研いでいた。

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<九州一円についての都市について論ずることは、
世界全体について論ずることと一向に変わりなく、
同じことなわけです。
都市と都市を比較するということは、
先進国と後進国を比較するというのと同じ意味を持ちます。
たとえば福岡市と鹿児島市、
あるいは福岡市と熊本市のデータを比べて、
さまざまな観点から比較をしますと、
世界における先進国と後進国、
あるいは先進地域と後進地域との格差が
どのように縮まるかとか、
いや格差は縮まらないんだとか、
そういうことについての判断のモデルになりうるのです。>
(吉本隆明「都市論としての福岡」から)





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# by 907011 | 2017-04-28 05:25 | Trackback | Comments(0)