作文の宿題。
秋田の小さな田舎町で育ちました。
昔からの“ほじなし(=秋田弁で知識や教養が無いこと)”で、
自分が自転車で走り回って見ている光景が「世のなか」のすべてだと思っていました。
隣の町もその向こうの町々もきっと、
この自分の町の相似形のようなものだろうと想像してました。
おもしろいことも残念なことも、
すべてこの町での自分の記憶と大差ないものと思ってました。
自分を育ててくれた環境というものは、それほどまでに深く刻まれ、
そしてなお20年以上が過ぎた現在までも、
自分が何かを考えて行動する上での基準や道しるべになり続けています。
その町が持っている「個」はそのまま、そこで生きた人間の背景となっていきます。
その背景と、その後のそれぞれの異なる経験とがいいアンバイで混ざり調合されて、
人は自らの感性を築いていくのだと思います。
とりたてて大きな山も川も持たない平場の町で育った自分が
高柳の人たちに感じる魅力は、
この背負った背景の違いとも言えるでしょう。
山深い風土で循環というべき暮らしを続けられた百姓の
ものの見方、考え方、身体ぐるみの知恵に強く憧れます。
なぜ山中に根を張りたいと決めたのか、あるいはどういう暮らしがしたいのか、
尋ねられることは当然多いのですが、
あれがしたいこれがやりたいという想いは、今の自分がたとえ言葉を重ねたところで
単なる理想論を語ることに変わらないと考えています。
いまだ何者でもない自分にとって、
まずはこの冬を楽しみながら越すことを一年目の宿題とします。
周りの皆さんからの助けに日々包まれながら、
自分たちが厳しくも学びの多い山中の暮らしを楽しむ姿を見せられることこそが、
そうした方々への恩返しにもつながるものだと自分なりに信じています。
by 907011
| 2011-08-21 16:48
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