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山中記

あまりに太宰な。

この前の暴風が過ぎ去ったと思ったら、
雪は今朝も高速降りをしていて、
荻ノ島でやる予定だった「春山、春木」は、あまりに冬山なので今日は中止になった。

久々にかんじきをはいて道をつけた。

あまりに太宰な。_b0079965_1741051.jpg

昨夜は酒飲んだまま寝てしまったので、
そのままのんびりと朝風呂に入って『人間失格』を読む。


人間失格

太宰 治





自分はいったい俗にいう「わがままもの」なのか、
またはその反対に、気が弱すぎるのか、自分でもわけがわからないけれども、
とにかく罪悪のかたまりらしいので、どこまでも自ずからどんどん不幸になるばかりで、
防ぎ止める具体策などないのです。


どんな本もどんな雑誌もそうだけど、読み返すと内容は一切頭に残っておらず、
残念ながら、いつも新鮮な言葉が続く。
損してるような得のような斬新な物語。

(自分は、ひとの暗示に実にもろくひっかかるたちなのです。
このお金は使っちゃいけないよ、と言っても、お前のことだものなあ、なんて言われると、
何だか使わないと悪いような、期待にそむくような、へんな錯覚が起って、
必ずすぐにそのお金を使ってしまうのでした)


今回久々に読み返してみたら、
「道化」と称した他人との接し方にひじょうにうなずいてしまった。

あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、
もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望するに至る心理、
神経質な、ものにおびやすい人ほど、暴風雨の更に強からんことを祈る心理、
ああ、この一群の画家たちは、人間という化け物に傷めつけられ、おびやかされた挙句の果、
ついに幻想を信じ、白昼の自然の中に、ありありと妖怪を見たのだ、
しかも彼らは、それを道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力したのだ




それにしても、これはやっと春めいてきた今だから読めたのだと気付いた。
自分の場合、一年でもっとも人との距離を置きたくなる冬のうちではたぶん読めないと思う。

人間の持つ「弱さ」の掘り下げ方というのは、
東北人の重たさみたいなものであるなあと(勝手に)感じます。

すすめられて、それを拒否したのは、自分のそれまでの生涯において、
その時ただ一度、といっても過言でないくらいなのです。
すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、
永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。





『如是我聞』という太宰治の評論にあった言葉。
<本を読まないということは、そのひとが孤独でないという証拠である。>

トイレや風呂の中で本を読むのが好きなのは、
ここでいう「孤独」になれる希有な時間、空間だからだと思う。


唯一の例外は長岡で借りていた古アパートの屋上
朝日の昇る時間、夕陽がかげって暗くなるまで、ほとんど毎日屋上にあがっていたなあ。
by 907011 | 2012-04-07 17:09 | Trackback | Comments(4)
Commented by いなこ。 at 2012-04-07 18:53
春の足音は、外からも内からも聞こえてくるものなのでしょうね…。

衣服や食べ物と同じ様に、本と共に季節を感じたり振り返ったりすること、直樹さんらしいなぁ…。

新潟はまた雪なんですね。

けれど、春の気配に、確実に気持ちがソワソワし始めていますね。(笑)

やっぱり、人は、いつも自分を感じていたいのかな。

本を読むことはいつも、自分と会話するみたい。

アパートの屋上で夕日を眺めることもまた、自分を見つめてみる時間だったんじゃないですか?

私のアパートの屋上は…

未だに見つかってないなぁ。
Commented by 907011 at 2012-04-09 05:39
いなこさん
おはようございます。
携帯電話からコメント書けた?

そっちの春は一足早いね。
じゃがいもとか、畑の日記を見てびっくりしました。いいなあ。
こっちはまだ二階の窓辺にも雪、みたいな状態です。
それでも、たしかにそう、住んでみると、
不思議なもんで、それとなく春の気配を感じるものですね。

俺の場合は本はやっぱり何度読んでも抜け落ちていて、
だからなのかもしれないけど、その時々の状態で読み方が変化するようです。
そうだねえ、だから、その時々で不確かな自分を感じることができるのでしょう。
もっと本が読めたらいいなあと思います。

アパートの屋上の時間は今でも理想の一つです。
Commented by コケコ at 2012-04-09 08:20
おはようございます。コケコです。

いつもいつも、律儀に周りの期待にこたえてばかりいなくてもいいんですよ。
ましてや、期待以上のことパフォーマンスなんて全く必要ないんですよ。

少なくとも、ブルーシートで帰宅するような酩酊っぷりは、誰も望んでいませんでした。
Commented by 907011 at 2012-04-10 05:24
照れ屋なのに目立ちたがり屋。
人見知りなくせに見栄を気にする。
そんな秋田人、ワタシ、多く知っています。


ときどき無性に、
暗い、重たい、鈍い、そういったものが見たくなるのは、
思考回路の半分くらいがそうだからでしょう。

「3・25事件」は良いネタになるなあ。
今思い出してもぞっとするけど。
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