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山中記

立会人記

「ここって物置みたいですよね」と隣のマダム立会人が小声でささやいた。
新潟県知事選の期日前投票所は町の庁舎にある、
たしかにどっしりと”物置感”の漂う一室だった。
お日柄もよろしい中、8時半~17時まで椅子に座り続けた。

昼食はどこでとるんだろうと内心ドキドキしていたら、
予想外にお昼もそのまま立ち合い(座ってるけど)ながら、各自弁当をつまんだ。

弁当をつみまながら、「いま誰か投票人が来たらお互いに気まずいだろうな」と思ううちの、
「誰か」のあたりでそんな誰かが入室して、
「スミマセンスミマセン」と10回くらいくり返し唱えるように恐縮しながら、
4つの家庭のバリエーションあふれる弁当臭が漂う部屋で投票を終えていった。

部屋には時計がなく、時報がわりにとテレビが部屋の角にあてがわれた。
弁当を食べたあたりから無言になり、個々の睡魔との闘いが続いた。
音が消えかかっているテレビ画面では新婚さんいらっしゃいが流れていた。
秋田での収録らしく、うちの実家(大仙市)の方の新婚さんが出ていた。
会話の中身はよくわからないものの、画面から察するに楽しそうだった。
明るく、なんだかとても楽しそうだった。それはもう「バカ」がつくほどに。
ドンパン節を唄ったり、何やら躍ってみたり。それはもう「バカ」がつくほどに。

「…そんたに毎日楽しってが?」と、椅子座り仕事後半戦の辛い時間帯だったこともありそんなことを思った。
それより大きかったのは「秋田男=だいたいシャイ」という自分の中でのわりと強いイメージが、
ただ明るいだけでなく、どこかで垣間見えるとといいなあという個人的な想いだった。
シャイ。人との独特の間合いのとり方。

偶然にも目の前(の画面)にあらわれた非シャイな秋田の新郎の天真爛漫な明るさと、
立会人として座りながら見つめ続ける(主に画面を)自分の間合いを感じた一日だった。
うちにテレビがないので、無音小音でもけっこう楽しめるものだね、テレビ。
小声で聞くと、濁点が付きまくる秋田弁のイントネーションってハングルと似ているなあとも思った。

その後、演歌や懐かしソングの番組を2時間ほど、
ゴルフの中継を1時間ほど眺めて、17時を迎え、解放されたのでした。
ずっと借りている不耕起田んぼの本も読み進めた。

そんな立会人の心情も観察しつつ、投票にいきましょう。

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by 907011 | 2012-10-15 08:35 | Trackback