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山中記

2014年の夏目漱石。

小泉八雲が講師をしていた東大(帝国大学)を去ったとき、
その後任が夏目漱石だった。

近代的個人主義の進展は、一方において利己主義や我執を生む。
漱石はイギリス留学を通して、
西欧の思想ではこれらを克服できないことを見抜いて、
この問題を生涯の課題にすることを決意した。
自分自身の頭で考えることが大切であると主張した漱石は八雲を尊敬していた。

東大で教え始めてから後に、
『吾輩は猫である』『坊っちゃん』など立て続けに作品を発表したが、
その中で、
「こんな小説は天地開闢(かいびゃく)以来類のないものです」と
自分でも絶賛したというのが『草枕』だった。

書きだしは有名な文句から始まる。
「角が立つ」「流される」「窮屈だ」の冒頭、ほんとうにまったくだ。
この一段くらいしか草枕について覚えている言葉はなかったけど、
この書き出しを読んでみるだけでも素晴らしい文章が続く。


山路を登りながら、かう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。兎角にこの世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。

越す事のならぬ世が住みにくければ、
住みにくいところをどれほどか、寛容(くつろげ)て、
束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人といふ天職が出来て、ここに画家といふ使命が降る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、
人の心を豊かにするが故に尊(たっ)とい。

住みにくき世から、住みにくき煩ひを引き抜いて、
有り難い世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。
(夏目漱石『草枕』)



去年十日町でもドキュメンタリーが上映されていたピアニストの、
グレン・グールドは『草枕』を30~40回と読み返したという。


 * * *


今朝は除雪も来ていたので、かんじき履いて道つけしてきます。
今日は一年ぶりくらいにスーツを着ねばならない。
ボーズ、ヒゲ、スーツ。(love&peace的な)
高柳の賀詞交歓会と消防団新年会で朝からけっこう飲むのだと思います。


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by 907011 | 2014-01-05 06:40 | Trackback | Comments(0)
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