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山中記

01。

区の下半期精算に片が付き(まだ終わってないけど)、
27年度、はじめての会計があと半月で一周する。

区長の任を仰せつかって、「耐え凌ぐ一巡目」が過ぎようとしている。
まったくもって踏ん張れず、持ちこたえられず、暮らしにも支障を来たしながら、
ほんとうに長い春夏秋冬だった。
大変だったけど、でもよく考えた。よく分かった。
分かるということはやはり面白いこと。目(面)の前が明るく(白く)なるということ。

いずれにせよ、初体験の一巡目が終わる。
「一巡目が終れば」と呪文のように自分に唱え言い聞かせて、
脳にかかる靄の中を朦朧としながら歩いたり立ち止まったり。
付き合いもお誘いもほぼ遮断して、やっと人生最初で最後の一周りが終わる。

中でも一番手こずった会計兼務のほとんどを、
ニ巡目以降はパソコンが勝手に処理してくれるように新設したので、
4月からは目をつぶり念じてみたり、左手指2本くらいでできるくらいにはるかに楽になる(はず)。

やっと、どうにか、ゼロから1へ。
例えて感じたのは、およそ口下手な自分が厳格な芸の道でお弟子に入門したかのような、
そういう0を体感した一順目だった。
要するに脳みそのまったく使ったことのなかった部位(ダラダラ生きてきたので使わずに来た・・・)のみを
ふんだんに惜しげも無く使い続けた一年だった。めちゃくちゃ疲れた、辛かった。
提出書類はまだ山積みとなって残っているものの、峠はどうにか越した(はず)。
やっと。やっとだ、春。

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道端に落ちていた、「完璧に食われた」後のケモノの骨。
年度末の支払いをしたり印鑑もらったりしながら、
村の一番下から天頂まですべての道を久しぶりに歩いた。

タイトルだけで衝撃的だった安藤裕子さんの『世界をかえるつもりはない』をしみじみ聞いた冬。
雪掘りの時間は「吉本隆明の183講演」を聞き進み、半分も理解できないけど、思想の力を頂いた。

耳に入って来る音の段階では、それはみんな「ひらがな」の言葉として、かもしれない。
「ひらがな」音を聞きながら、耳の穴を通過して感受しながら、
それらは漢字やカタカナの用語(ときどき英単語)ややっぱりひらながなや接続詞で、
脳みそにタッチしながら、文章になっていく。

瞬間的で、かつすごいことだと思って、雪の中、はっとした。

 * * *

村の年貢(借地料)払って、印鑑もらいに”そうじろ”へ。
帰省して雪掘り中のセガレさんに勧められるままにコタツに一直線につっこむ。
数秒でビール2本とワンカップが出てきた12:05。

トクイチ翁はニュースを大音量で流しつつ、コタツで気持ちよさそうに寝ていた。
ビールのプルタブを引っぱり上げようとしたら翁がぼんやり起床したので乾杯をした。

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「あー、夢だったか・・・。とーちゃん、俺はいまオクサの田んぼで田植えをしてたよ。
 田植えしてたども苗が絶えて、耕耘機に乗って取りにもどったとこだった。おー、夢だったか。」

テレビを消して、ビールを呑みながら、
「久しぶりに田植えをした」という話と「やっぱり仲間がいて呑む酒はうまいね」という話を
トクイチ翁は何度も交互に繰り返した。
(手もとの封筒を見つけるたび、「何だい。こりゃ何の金だい?」と3回くらい聞かれた。)







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by 907011 | 2016-03-13 05:40 | Trackback