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山中記

無へ刈り上げ、空を見る。


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”じょうづか”のハサ場は棚田の下段にある。
稲刈りの最後にはさがけをはじめるという段取りなき非効率。
ワタシの辞書には計画性という文字が見当たらない。
押し寄せる山野の時間に対して、俺はつねに後手後手の手で後ずさりする。

むかし、相撲を見ていると土俵際にどんどん押されていく力士の足が踏ん張る時の
あの綱?(境界になっている部分)の存在は大きいよなあと眺めていたのを思い出す。
大学の時には、なんでも「概論」という文字がつけば学問になるのだなあと
良くも悪くも感心したのも思い出す。
後手後手の後ずさりも、人生続けておれば「後ずさり概論」でいける。いつかそのうちいける。
何せ押してくるのは山の時間だ、相手に不足は無し。


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6日。稲刈りラストとなる、はさがけの善き日。
朝。
大風の去った朝に”きんべ”から電話がくる。
山中Iターン農家・シゲルさんから、
「公民館のバタリが大変だってんだよ」と江戸っ子調で合図をもらい、
朝飯前に集合をかける。

「バタリ」は、言語化が難しいのですが、
雪対応できる開閉式の空間プロデュース屋根というか壁というのか。
冬は雪に押され続ける役の壁となり、雪がなくなると持ち上がって突っ張られて屋根になる。

屋根か?壁か?
バタリだ!
というスーパーマン的な壁であり屋根である。

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ちょうど朝のバス時刻と重なり、
年寄りや子ども(山中からは2人)がバス待ちをする時間帯だったので、
怪我も防がれてめでたし。

なおも天候悪く、午前はコンバインの足をひたすらに洗い続け、
午後から刈る。運ぶ。かける。日暮れにどうにか間に合い終了。
終始雨に降られた一日。
久々に山を降り、”さわだや”でジンギスカンを飲み食いして寝る。

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昨日。
対外的には「ほぼ終了」となったものの、
野球で”隠し玉”をしている最中(○さいちゅう×もなか)のセカンドの選手みたいな顔で、
じつはもう一枚、隠れ田んぼを隠し残していたので、
田の持ち主マサさんを誘って、一緒に刈る。しばる。

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漆島・ナガエさんからいただいた不耕起田んぼの苗を1,2本ずつ植えて、
あとは余計なことはなるべくせぬよう眺めていたら、
ワイルドな田(ときどき通りがかりのマサさんが草刈り)に
じつに健やかな稲ができあがっていた。

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昨日、むかれたばかりのフレッシュな?もみ殻をまいて、
これはこのまま不耕起田んぼでいこう。
小さな手づくり田んぼは数字や時間を忘れさせてくれて、楽しい。
ザ・秋晴れ。貴重な一日はすぐ終わり、再び秋雨が続く。

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運ぶ。のぼる。干す。
マサさんは下から投げるのがうまかった。
来年もやらねば。
春になれば「自分の苗」づくり編がスタートする。
山中の苗を山中でつくれたらいいなと思う。
もみ殻などの始末の部分も含め、
うちの鶏どもにも活躍してもらって循環が少しずつ目に見える化していけばいいなと思う。

生産だけでなく、消費の都合だけでもなくて、
その後にもう一段階、「廃棄」についての世界が続いている。
廃棄には発酵や腐敗の循環も含まれるとして、
我らは家を建てるのも、消費後の排せつもしかりで、
廃棄の時間や空間に対して、どんどん目を向けなくて良いように都合良く、
切り離して別世界化されて暮らしているものの、当然別の話ではない。

・・・なんていうのを、夢の森公園の建築講座の初っ端で聞いて、
本当だよなあと印象深く、感心した。

ただ便利化に便乗して面倒なもの臭いものをどうするか、
そうしたものの先を想像することがなくなるとすれば、
視聴覚は半分くらいで済ませられるとも思う。
廃棄の世界はとてつもなくエネルギーを要するからだ。
つくることよりも後始末の片付けや掃除の方が大変だと思う。
片一方の目、耳、感受で生産をし、あるいは消費し、
暮らしたり考えたり話したりしていて、
後に自己矛盾に行き詰まることがあるし、気付かずに終わることもある。

「わかること」に近付く面白さか、
知らない自由・知らない幸せか。
自分をとりまく環境(山の時間の迫り方も。人付き合いも)において、
どっちにも大きく振れながら、
でも「やっぱり自己矛盾だよなあ」という所にたどりついては頭をポリポリとかいて暮らす。


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28年産の終わりが近づくと同時に、
29年産の田んぼづくりが並行してスタートする。
もう29年の暦がはじまった。
(まだもみ殻まくくらいしかしてないけど)

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やっと、とうとう、ついに夏以降の課題だった自分家の草刈りができる。
と始めたら子が帰ってきて鶏と遊び、日が暮れた。

無と空とは違う。
次の年度との端境期の秋が雪降りまで続く。

 * * *

明日9日は狐の夜祭りです。
夜は玄関一歩出た後に服を着に戻るくらい、けっこう寒いです。
暖かい格好をして、暖かいものを食い、ビールか姫の井を飲むとすごく良いと思います。

 *

山中にも秋祭が迫る。
今年も入念にお礼と神頼みをせねば。
酒の神様・バッカスにも今一度入念に忠誠と恭順を示さねば。

雪降りまで泣くキリギリスと化して冬支度に追われる。
「やらねばならないこと」をまず一つずつやる(しかない)、
とはキリギリス概論の肝となる部分だ。テストにも出そうだ。
いつかそのうち出る。





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by 907011 | 2016-10-08 06:31 | Trackback | Comments(0)
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