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山中記

細部、細部、細部。

思惑を持った誰かが、その勢いの余りに誤ってしがちな、
”他者”への過信は、過小評価と併行している。

一年、一年ごとに、
「できないことは断る力」の肝要さを痛感する晩冬。




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『もの食う人びと』の異境それぞれで記される言葉や思案は、
章を追うごとにより深く、鮮烈なものになっていく。
あとがきの読みごたえもまた大きく、
ビビッドに冷静に、示唆に富んでいた。


<これは反動というものか、よほど注意しなければ目には入らぬ
かそけき風景と人の表情がとてつもなく大切なことに思われた。
細部、細部、細部!
 細部こそが大事であり、細部の積み重ねで
つまらぬ私の世界像など覆してしまっていいのだと、
旅の道々、何度自分にいい聞かせたことか。
世界にはまだ記録も分類も登録も同情もされたことのない、
今後も到底そうされそうもないミクロの悲しみが数限りなくあると確信しもした。
 この考えの延長線上で、私のごくごく常識的な「中心認識」は
完全に崩れ去ったといっていい。>
(辺見庸『もの食う人びと』文庫版のあとがきから)

















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こーるどふぉとこんてすと



by 907011 | 2018-03-03 07:12 | Trackback