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山中記

人間的な、あまりに人間的な。

年の瀬に、たまげた。
もう年をまたいでしまったけど、昨日ふと写真を整理して、二度見する時みたいにまたたまげた。

9月だったか、稲刈りのほぼ終盤戦の頃に、
農協の「エース」(と勝手に呼んでいる)タカヒロ君から
「お願いがあります!」と一本の電話をもらったのが「たまげ」のきっかけだった。

基本的に高笑いのような明るい営業スマイルをしながら、
じつは意外に人に気を遣う彼(家人の同級生)の電話によれば、
はさがけの藁を急きょ探していて、皆さんほぼ終盤で見当たらなくて、
大規模農家じゃないのに稲刈りが遅いことで一部の人には知られる自分のとこに、
やや必然的にオーダーがきたのだった。

ちょうど天気予報をにらんで、稲あげをしようかなというタイミングだったし、
農協にしては珍しく単価も悪くなかったので、特に断る理由もなく、
無事、藁15把を30束あげた。

 *

すっかり小忙しくかつ、お緩りと時間は早く流れて、
ほぼ年の瀬になり、確定申告にそういえばあの時のわら代を入れないとなと思い、
タカヒロ先生に連絡して言われる通りに宛名・日付なしの怪しい請求書兼領収書などつくり、
無事29日に農協経由で、上記の通り正に受領いたしました。

で、雑談したまま(聞けば西山の”さいの神”行事で藁が足りなかったらしい)
中身もまったく確認しないで別れたので、
うちに帰って一応確認したら、たまげた。…という話にようやっとつながる。

ワタシはお札の数え方がさささっとできないニンゲンなので、
「一枚、二枚」と数えていたら、最後に二千円札が入っていた。

たぶん、10年ぶりくらいに見た。
まだ持っているヤツいたのか二千円札、とまで思うくらいたまげた。
写真におさめ、家人に「これを見ろ。二千円札だ。」とたかぶるくらいにたまげていた。
俺は10年ぶりくらいにたぶん出会ったくらいですが、
おそらく、お店のレジの人も二千円札を出すとびっくりするのではないだろうか。
家人には「おとうさんもなめられたもんだねえ。」と言われたけど、
意外にお店をしている人は目にしているんだろうか、二千円札。




人間的な、あまりに人間的な。_b0079965_19330275.jpg



二千円札に邂逅した二日後、31日大みそか。
唯一のまじめな大みそかっぽい用事として、神棚のクモの巣を払い清め、
平成最後のお札神宮大麻を入れ替えて、お神酒をそなえて、
30年最後の煩悩だらけのいろんな神頼みをしようと思った矢先に、
どうしても二千円札がなぜか気になって神棚に一緒に乗せて、手を打ち合わせた。


 *


生まれ持っての小心者である。
その小心者のデメリットであり、なおかつ
”長所でもあるのだ”と強引に言い張るには、あまりに損することの方が多いので、
単に「面倒を避けたいだけだ」という結論におさまるんですが、
たとえば、一人でごはん屋さんで「コレ」を食べようと注文して、
すっかり腹の側もコレを想定してコレ待ちしていて、
でも、なぜかコレではない間違われた定食などが平然と届くことが稀にある。

その際に、瞬間的思考がぱっとできない自分の脳みそは
「あ、違うの来たな。コレじゃないな。」とまでは思うのだけど、
小心者ゆえに呼び止めて謝ってもらったりして、再度注文確認してつくり直すという、
一連の「面倒」を避けたい方向にほぼ9割くらい傾くので、
「まあ、これはこれでいいじゃないすか。」と割りばしをぱかっと割る気質のようだ。

ただ、それがもし、
「得々ランチ」みたいな一人で口にするのがはばかられるくらい、安くてお得な定食を勇気を出して注文して、
まさかのうっかりミスで「黒毛和牛ステーキ」とかがやってきたら、さすがに言う。
勇気を振り絞って。脳や腹の側の都合というよりは、財政的な面で。

二千円札をくれた人も、(きっと生涯顔を見ることもないと思うし)悪意はないのだろう。
西山のどこかも、山中も藁やお飾りをどーんと燃やして、良い小正月を。










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by 907011 | 2019-01-02 06:44 | Trackback