人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山中記

『The Show Must Go On』.

翌朝。
秋田マタギでいうところの”シカリ(頭)”にあたるナカザワさんから着信があり、
マタギ4人と勢子見習い・不肖ワタシで
(自分の姿を客観的に見て、「捕虜」とあだ名を付けて楽しんでいる)
山中トンネル入り口に集合。

俺は市の不法投棄パトロール(3月末で市長が廃止にする)係も兼務しているので、
除雪が来ても良いようにパトロールを兼ねて
ここぞ今ぞとばかりに、軽トラに蛍光黄色の派手なステッカーを張る。

フロントガラスには、いまだによくわからない任務の一つである、
「自治防犯会長」というプレートも出して、
高柳駐在所のハヤカワ巡査(高柳保育園保護者つながり)に
迷惑がかからないように手を打って、ゆく。




『The Show Must Go On』._b0079965_05374090.jpg





この第三弾は、12月のシカリ役・ナカザワ猟師に加えて、
第二弾でのタカハシさん、
さらに後追いしてやってきたスミヨシさん(武将・浅井長政の末裔の一人)に加え、
ホンマさんが加わり、マタギ4人鉄砲五丁で
道のついていた前日の沢に一気に向かう。

途中でタカハシさんが振り向いて崖を指さし、
「ほれ、あの土崩れてるのがイノシシがやった跡だ。
 今日は鉄砲5本あるすけオメもぶってみれ。」と笑う。

現場が近いこともあり、そこから数分後に沢と尾根が見渡せる分岐に着き、
すでにひそひそ声で本気の作戦会議。




『The Show Must Go On』._b0079965_05374036.jpg






俺はタカハシさんと同行して、
山中トンネルの一つ右手の尾根を道付係として上る。

上りだしてわりとすぐに、
朝から降っていた雪がついていない、
おそらく我らの上る音で駆け上がり出したと見える、
血のついた足跡を発見。

爪の先の向きを一跡ずつ追って眺めていたら、
後ろからタカハシさんが「ひゅいっ」と鳥の声に似せた合図を出して、
俺を停めて、トレースの左右に分かれて、
それぞれ尾根に上がり下がりしながら足跡を追う。


『The Show Must Go On』._b0079965_05374071.jpg



無線でさらにひそひそとマタギ同士の
位置関係とそれぞれの痕跡の情報交換と作戦の軌道修正とを、
できるだけ最小限の言葉と音量で交わし、
我らは崖下にトレースを見つけて沢目がけてほぼ滑り落ちながら下る。

一方で、ナカザワさんとホンマさんは、
トンネル右の沢から尾根に上がり、
山中トンネル上の尾根を横断して北側に追跡。

 *

俺とタカハシさんはやはり仙田側に逃げ上がった跡を見て、
杉林を捜索(逃げつつも、案外、杉の根っこで休んだりエサをほじくったりするという)
最初のヒソヒソ会議をした沢の上の堰堤で待機し続けて、
獲物が追われて沢に逃げ下りたときの仕留め役(秋田マタギでいう”ブッパ”)の
スミヨシさんと合流。




『The Show Must Go On』._b0079965_05374091.jpg




「いやー、この堰堤の上に立って居るのが一番怖かった」
と笑う、織田信長と決裂して最後を迎えた浅井長政の末裔兼マタギのスミヨシさん。

結局、トンネル上の尾根超えをした二人も、
仙田に逃げたと下りてきて、
再びトンネル前で合流。

国道を横断する際に、
絶賛営業中のガルルスキー場
こども自然好王国(改修工事で休館中)の館長・カズナリさんが通る。
(昨日、別の会の打ち合わせがあってガルルの入り口でカズナリさんに遭遇。
 「おー、なんか猟師とオレンジ色のイトー君もいたねえ」と少し談笑)

降雪も激しくなり(原則、銃先にもよろしくないらしい)、
こうして、山中×魚沼マタギの今季は終わり。

4人はスミヨシさんが「あの綾子舞の方に行ってみよーよ」と言い、
野田鵜川方面に獲物を探しにゆかれ、
ワタシはまた手ぶらで皆さんを返し、申し訳なく帰路に着いた。


 *



Does anybody know what we are living for?
俺たちは何のために生きているのか誰か知っているやつはいるのか?
I guess I'm learning
俺は今学んでいる途中で
I must be warmer now
もっと温かい人間にならなきゃ
I'll soon be turning, round the corner now
もうすぐ人生の転換期を迎える
曲がり角が見えているんだ
Outside the dawn is breaking
外はもうすぐ夜が明けそうだけれど
But inside in the dark I'm aching to be free
内での闇の中で俺はまだ自由を得ようともがいてる

The show must go on
ショウを続けなくては
The show must go on, yeah
そうさ、ショウは終わらない
Inside my heart is breaking
俺の心が壊れようとも
My makeup may be flaking
どれだけ化粧が剥げ落ちても
But my smile, still, stays on
それでもステージの上では笑顔を保つのさ
I'll face it with a grin
さあニコっと笑ってみせてやろうじゃないか
I'm never giving in
俺は諦めやしない
On with the show
この舞台に立ち続ける間は
I'll top the bill
俺は主役を演じる
I'll overkill
やり過ぎなくらいにやり遂げてやる


映画の最後に流れていた『The Show Must Go On』(動画としてならこっちがおススメ)
を軽トラで聞く帰路。
俺は予備知識が乏しかったためにわからずに終わったけど、
この動画(和訳つきバージョン)の説明部分に以下のエピソードが記されている。


クレジットはクィーンとなっていますが、
実際はブライアンメイが主導して書かれた
曲です。すでに症状がかなり悪化していた
フレディに、メイが歌を持っていったところ、
I'll fucking do it.darling
(俺は絶対やってやるよ)
と、フレディは答えたという
エピソードが残っています。




『The Show Must Go On』._b0079965_05374067.jpg












*************************************


by 907011 | 2019-02-16 06:31 | Trackback