Don't forget me.

かくゆうお父さんも朝イチの検尿のことなどすっかり忘れてしまって何も考えずにいつもどおり小をしたりしたけどね、ガクくん。水を飲めば尿はまた出るさ。そのへん、大に比べれば、まだ余裕のよっちゃんというヤツだ。ね、よっちゃん。間違えた、ガクくんよ。
君が起きる６時半にはお父さんはまだ”ツキヨメ沢”でトラクターの人になっているでしょう。なので、トイレのふたにメモ書きを追加して乗せてゆくよ。
お父さんは６時半ごろ、宮本浩次さんの『Do you remember?』か、あるいは尾崎豊さんの『Forget-me-not』をツキヨメ沢で聴くことにするよ。お二方とも、濃いよねえ。お父さんは高校生のころに尾崎豊さんの歌を聴いて、学校を中退しようかと何度も考えて、夏休みに秋田のばっちゃに真剣に話したりしたよ。お父さんは団体行動というものが苦手だしたぶん嫌いなんだよ。でも、学校はとりあえずばっちゃの言うとおりやめないで良かったのかもしれないよ。
流しの窓から見える東の山が、薄い藍色と、紫がかったオレンジ色との二層になってきたのでそろそろお父さんは野に放たれてくるとするよ。
グッド・スモール。良い小を。

ありのまま目に映るこの世には豊かなすべてが広がってるのさ（宮本浩次『Do you remember』）

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